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[社説]「盧泰愚元大統領の国家葬」の決定、正しくない

登録:2021-10-28 06:03 修正:2021-10-28 07:31
韓国政府が盧泰愚元大統領の葬儀を5日間の国家葬で行うことにした27日、大邱達西区にあるアン・ビョングン・オリンピック記念柔道館に用意された国家葬の焼香所の様子/聯合ニュース

 政府は、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領の葬儀を「国家葬」で行うことにした。政権を奪うために罪のない国民を殺傷した許されない罪を犯したにもかかわらず、政府が国家葬という最高の礼遇を与えるようにしたことに対しては、遺憾の意を表明せざるをえない。

 キム・ブギョム首相は27日、閣議で「故人は第13代大統領として在任し、国家の発展に多くの業績を残した」とし、「政府は今回の葬儀を国家葬にして、国民とともに故人の業績を称え、礼遇に万全を期する」と明らかにした。また、行政安全部は「盧元大統領には、12・12事態や5・18光州民主化運動などに関連した歴史的な過ちはあるが、直接選挙制を通じて選出されてからは北方政策に貢献し、刑の宣告後に追徴金を納付した努力などが考慮された」とし、26~30日の5日間の国家葬を行うことを明らかにした。

 盧元大統領が、在任期間中に北方外交や南北関係などで大きな業績を上げたのは事実だ。ソ連や中国などの共産主義国との国交正常化、1991年の南北基本合意書の締結や南北の国連同時加盟など、顕著な成果を残した。しかし、彼が犯した罪は、そのような業績で埋めることができないほどあまりにも重いという点で、国家葬の決定は誤りだと考える。盧元大統領は、「新軍部」の中心として全斗換(チョン・ドゥファン)元大統領ともに12・12軍事反乱事件を主導し、韓国の憲政秩序を蹂躙した共犯だ。民主主義に対する国民の願いを踏みにじった5・17戒厳令の拡大と5・18光州市民虐殺にも深く関与した。最高裁は1997年、軍事反乱や内乱などの容疑で、全元大統領に無期懲役、盧元大統領には懲役17年の刑を確定判決した。法的にも歴史的にも評価は確定した。息子を通じて「過ちに対して深い容赦を望む」という遺言を残したというが、生前に5・18の犠牲者と遺族に直接謝罪しておらず、許しを請うこともなかった。

 国家葬法は、第2条で元職と現職の大統領を国家葬の対象者に規定しているが、第1条は「国家または社会に顕著な功績を残し国民の敬意を受ける者が逝去した場合、その葬儀を敬虔かつ厳粛に執行することにより、国民統合に貢献すること」を目的として明記している。今回の国家葬の決定が法の趣旨に合致すると考える国民は、はたしてどの程度いるだろうか。ただちに光州市は、国家葬法に記載されている焼香所の設置と弔旗の掲揚をしない方針にしたという。

 政府は、大統領選を控え保守層の一部の感情と主張を意識し、国家葬を決めたものとみられるが、韓国社会が苦労しながら確立してきた歴史意識を乱す誤った先例として残る可能性が高い。これを機に、国家葬の基準を法で明確にしなければならない。国立墓地法では、内乱・外患罪で禁錮以上の実刑が確定した場合や、国庫の損失などで禁固1年以上の実刑が確定した場合、国立顕忠院への埋葬ができないことになっている。国家葬も国立墓地への埋葬の基準に合わせ法改正する必要がある。国会が国民の意見の取りまとめに積極的に乗りだすことを望む。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1016906.html韓国語原文入力:2021-10-27 20:36
訳M.S

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