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[コラム]ロスト・ジェネレーションとウェルカム・ジェネレーション

登録:2021-09-29 01:47 修正:2021-09-29 08:16
//ハンギョレ新聞社

 「ロスト・ジェネレーション(失われた世代)」という言葉は、小説家ヘミングウェイが自身の小説『日はまた昇る』の序文で、アメリカの作家ガートルード・スタインの言葉「あなたたちはみな失われた世代の人々だ」を引用して世間に広く知られるようになった。この言葉は、第1次世界大戦後の幻滅と虚無感を文学と社会に反映した西欧の若い世代を意味するものだ。第1次世界大戦で1000万人が命を失い、スペイン風邪で5000万人が犠牲となった頃だった。人間の価値は意味を喪失し、伝統的な価値も崩壊したため、未来を期待し、希望を語ることがもはや難しくなっていた時代だった。

 日本では、このロスト・ジェネレーションのことを「ロスジェネ」という。この言葉は、日本のバブル経済の崩壊後、就職氷河期を迎えた2000年前後に高校や大学を卒業した世代を指す。彼らが社会に足を踏み入れる時期に、日本は長期不況に見舞われていた。日本伝統の終身雇用制が崩壊し、少数のよい職にありつけなかった多くの若者は非正規職を転々としなければならなかった。韓国では、恋愛、結婚、出産の3つをあきらめなければならない「3放世代」とか、多くをあきらめなければならない「N放世代」と呼ばれる。日本と韓国のこのような世代を表す用語は、未来を期待して希望を語ることがもはや困難になった青年層の貧困問題が、社会的な議題として浮かび上がってきたことを裏付けている。

 防弾少年団(BTS)が9月20日(現地時間)、米ニューヨークの国連で「ロスト・ジェネレーション」に代わる言葉として「ウェルカム・ジェネレーション」を全世界に提案した。コロナ禍においても、より健康に生きていくために努力する若い世代の多様な活動を写真で示しながら、若者と未来世代の声を届けた。「私たち未来世代には『ロスト・ジェネレーション』ではなく『ウェルカム・ジェネレーション』という名が似合っている。変化に怯えるのではなく、『ウェルカム』と言って前に進んでいく世代という意味だ」。希望のメッセージも提示した。「可能性と希望を信じていれば、予想外の状況においても道に迷うのではなく、より新しい道を見つけられると信じて疑わない」

 こうしてBTSは「ウェルカム」という小さなボールを打ち上げた。BTSがすべてのことをできるわけではない。未来世代をウェルカムする具体的な代案の提示は政府、政界、社会の役割だ。いつまでも記憶に残るように政策を打ち出していかなければならない。これからは大人たちがウェルカムというボールを受け取らなければならない。

チョン・ヒョクチュン|文化部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1013064.html韓国語原文入力:2021-09-28 17:38
訳D.K

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