政府が秋夕(チュソク、旧暦8月15日の節句、新暦で今年9月21日)前の「全国民の1回目ワクチン接種率70%達成」を見込んでおり、実際に14日の1回目接種率が66.2%に達するなど、ワクチン接種者が大きく増えていることに伴い、ワクチンの異常反応に対する懸念と誤解も拡大している。疾病管理庁は14日、「ワクチンの異常反応についての専門家説明会」を開き、ワクチンの安全性および異常反応との因果関係について説明した。この日の説明会では、ソウル大学病院薬物安全センターのカン・ドンユン教授、高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)が説明に当たった。
-ファイザーやモデルナなどのmRNAワクチンの接種を受けた若者が胸の痛み、手足のしびれなどを感じ、病院で異常なしと診断されても1週間以上も症状が続くことがあるが、どのくらい長引きうるのか。
カン・ドンユン(以下カン):「手足のしびれなど(軽い異常反応)の持続期間は1週間以上になることもあるが、その状態が悪化したり、それによって機能性障害が発生したりするケースは今のところない。疾病庁が異常反応の管理を行っているが、この症状が最大でどれくらい続くのかを知るためには、ある程度の期間が必要だろう」
-最近、新型コロナウイルスワクチンを接種して白血病や生理不順になったとか、腸が壊死したという事例が報じられているが、ワクチンとは関係ないのか。
チェ・ウォンソク(以下チェ):「白血病についてはすでに血液学会から意見が出ている。急性白血病の発生原因や発症までの時間などを考慮すれば、ワクチン接種後に急性白血病と診断される事例は、ワクチン接種と因果関係のある可能性はあまり高くないと認識している。生理に関する部分は、現在のところ評価中だと聞いている。今のところ、それほど関連性はなさそうだ。腸の壊死は、一般人には馴染みのない疾患かも知れないが、実際の臨床では発生が少なくない。風邪のように多く見られる疾患ではないが、ワクチン接種開始以前にもかなり発生する疾患だった」
-ワクチン接種前後の飲酒は免疫形成や異常反応にどのような影響を及ぼすのか。
カン:「接種前に飲酒した人としていない人で(免疫形成に違いがあるかの)研究は行われたことがないため、科学的根拠がない。ただ、ワクチンは最良の健康状態で接種することが勧められているため、飲酒は避けるようにというわけだ。重度の異常反応に影響を及ぼす可能性はないが、一般的な異常反応、筋肉痛や発熱には十分影響を及ぼしうるだろう」
-mRNAワクチン接種後はアセトアミノフェン成分の鎮痛剤が心筋炎や心膜炎を誘発するため、イブプロフェン成分の鎮痛剤を飲まなければならないという説があるが。
カン:「アセトアミノフェン(タイレノール)が心筋炎や心膜炎を誘発する可能性があるというのは事実ではない。アセトアミノフェンは解熱鎮痛剤、イブプロフェン(アドビルなど)は消炎鎮痛剤であるため、心筋炎と心膜炎には消炎剤が使えるということから、誤って伝わったようだ。しかし、イブプロフェン成分の鎮痛剤を服用したからといって心筋炎や心膜炎が予防されるわけではなく、治療を目的として使用できるということだ」
-妊娠中の女性に対するコロナワクチン接種を計画中だというが、海外には前例があるのか。
チェ:「米国、欧州諸国、日本などの国や世界保健機関(WHO)も、妊婦への接種は禁じていない。むしろ米国は強く勧告している。妊婦は、コロナに感染すれば重症化したり死亡したりする危険性が、妊娠していない女性に比べて高いという多くの資料がある。また、妊婦が接種した場合に他の異常反応が増加するという根拠もない。こうしたことを踏まえ、米国では妊婦に対する接種を勧告している」