日帝強占期(日本の植民地時代)に日本軍に動員され、太平洋戦争終結後にBC級戦犯とされ苦しんた韓国人被害者たちが、韓国政府を相手取って日本との外交的解決を求めて起こした憲法訴願で、憲法裁判所は原告の訴えを却下した。
憲法裁は31日、同進会の故李鶴来(イ・ハンネ)会長とその遺族が「韓国政府が韓国人戦犯問題を解決していないのは違憲」として韓国政府を相手取って起こした不作為違憲確認訴訟で、5(却下)対4(意見)で却下決定を下した。
李会長らBC級戦犯被害者は日帝強占期当時、「捕虜監視員」として韓国から日本に強制動員され、太平洋戦争において捕虜となった連合軍兵士の収容所での監視などを担当した。彼らは終戦後に連合軍が行った「戦犯裁判」でBC級戦犯に分類され、死刑に処されたり、刑務所で10年あまり服役させられたりした。李会長ら戦犯被害者は、日本の巣鴨刑務所から出所後、「戦犯」「対日協力者」の烙印を押されて帰国できず、生活苦に悩まされた。1955年に「同進会」を結成し、日本政府に対して被害の補償を要求した。しかし日本の裁判所は彼らの要求を棄却した。
その後、韓国政府は2006年、韓国人BC級戦犯被害者を「強制動員被害者」と認め、一部の被害者に慰労金を支給した。また韓国政府は「韓国人BC級戦犯被害補償問題は韓日請求権協定とは関係がなく、日本が責任を持って解決すべき問題」との立場を示し、外交チャンネルを通じて日本政府に問題解決を求めてもいる。これに対し李会長らは「韓国政府は問題を解決する義務があるにもかかわらず、きちんとした措置を取らないのは、被害者の基本権を侵害するもの」とし、2014年10月に憲法裁に憲法訴願を行った。BC級戦犯被害者の最後の生存者だった李会長は、今年3月に96歳で亡くなった。
憲法裁はまず「痛ましい歴史的事実は認められる」としながらも「国際戦犯裁判所の判決は国際法的に有効だ。したがって国際戦犯裁判所の判決に則った処罰を受けて生じた韓国人BC級戦犯の被害補償問題を、日本軍慰安婦被害者や原爆被害者などが持つ日帝の反人道的不法行為による賠償請求権の問題と同じ範疇と考えることは難しい」と説明した。
そして「韓国人BC級戦犯たちが日帝の強制動員によって受けた被害に対する日本の責任について、韓日両国の紛争が現実的に存在するのかは不透明だ。したがって、韓国政府に紛争解決手続きを始める義務が認められると考えるのは難しい」とし、「たとえ紛争が存在するとしても、韓国政府はこれまで外交的経路を通じて韓国人BC級戦犯問題に関する全般的な解決および補償などを日本側に要求し続けてきた」と述べた。
一方、イ・ソクテ、イ・ウネ、キム・ギヨン、イ・ミソンの各裁判官らは「韓国政府が日帝の不法的強制動員による被害に対する紛争解決手続きを行わないのは、被害者の基本権を侵害しており違憲」とし「戦犯被害者は不法な強制動員で被害を受け、これに対する請求権を持つ。被害請求権が消滅しているかどうかは韓日両国の間で解釈上の紛争が存在するため、紛争解決手続きを行う義務もある」と反論した。そして「戦犯被害者の被害請求権の実現を妨げることは、人間としての尊厳と価値の侵害と直接関係がある」とし「韓国人BC級戦犯たちが全員死亡しているという事情を考慮すると、これ以上時間を遅らせれば、歴史的正義を確立し、侵害された人間の尊厳と価値を回復することが永遠に不可能になりうる」と指摘した。
憲法裁は2011年、日本軍慰安婦被害者たちが「韓国政府が日本政府との外交的紛争の解決にきちんと取り組まないのは違憲」として行った憲法訴願で、原告勝訴の判決を下している。一方、2019年にサハリン強制徴用被害者が同じ趣旨で行った憲法訴願では、「国がサハリン強制徴用被害の回復のために努力を怠っていると考えることはできない」として原告敗訴の判決を下している。