「今年いっぱい営業して店を閉めるつもりだ。ひと月に出ていく金だけで1千万ウォン(約95万円)になるのに、支援金はひと月分足らず。もう限界だ」(ソウル冠岳区南ヒョン洞で焼肉屋を経営しているAさん)
「去年から続いてきた距離措置の疲労度が高まっている。やむを得ない決定だが、ある程度営業制限を緩和する方法で『ウィズコロナ』も可能だと思う」(大学生のJさん)
20日、韓国政府が現行の社会的距離措置(首都圏レベル4、非首都圏の一部地域レベル3)を2週間延長したことを受け、社会の各界各層で防疫に対する疲労感が限界に達したという声が出ている。本紙が22日と週末の間に会った自営業者たちからは「限界に達して久しい」という叫びが、大学生からは学校生活をまともにできないという吐露があふれた。学齢期の子どもを持つ親たちは子どもの学力低下を心配し、距離措置レベル4でも学校の授業が正常に行われるべきだと口をそろえて言い、労働者は在宅勤務が可能な一部の事務職労働者以外は正常業務が難しいと訴えた。
政府はワクチンの2回目接種完了者2人を含め4人まで、夕食時間に食堂やカフェを利用できるようにしたが、自営業者らは大して役に立たないとし、不満げな反応を見せた。営業制限時間を夜10時から9時に1時間繰り上げたためだ。ソウル麻浦区延南洞(マポグ・ヨンナムドン)でデザートカフェを経営するKさん(31)は「平日は仕事帰りの午後7~8時ごろに客が来るが、午後9時までの制限のため夜の売り上げに響きそうだ」とし「レベル4が始まってアルバイト2人に無給休暇を与えたが、状況はもっと厳しくなりそう」と話した。Kさんは「午後6時以降はワクチン接種者を含めて私的な集まりを(これまでの2人から)4人まで拡大するというのも、現実性がない」とし「今もQRコードでの出入り名簿やマスク着用など、お願いすることが多いのに、どうやってワクチン接種を確認するのか。自営業者ばかり煩わせているという気がする」と話した。ソウル銅雀区舍堂洞(トンジャクグ・サダンドン)でおでんバーを経営しているCさん(66)は「うちは1次会で食事をしたお客さんが2次会で来るところだが、私的な集まりをワクチン接種者を含めて4人まで増やしたとしても、午後9時に営業制限時間を繰り上げたから、もっと厳しくなる」とし「災害支援金をくれなくてもいいから、午前0時まで私的な集まりを4人まで許可してほしい」と訴えた。
政府は最近、自営業者や小商工人を対象に第5次災害支援金として「小商工人希望回復資金」を40万~2千万ウォン(約3.8万円~190万円)を支給し始めたが、売上損失額を埋めるにははるかに足りないという声が多かった。ソウル冠岳区南ヒョン洞(クァナクグ・ナムヒョンドン)で2階建ての焼肉屋を営むPさん(52)は「新型コロナ拡大以降、団体予約を入れる2階の部屋を使ったことがない」とし「500万ウォン(約48万円)の家賃だけこの2年間かろうじて充てている状況だ。今回、支援金が400万ウォン出るというが、(1カ月の)賃貸料にもならない」と語った。
大学生たちは「2年近くまともに大学生活を送ることができず残念」と訴えた。特に2~3年制の専門大学に通う学生たちは、対面授業をせずに卒業することになった状況にもどかしさと悔しさを伝えた。韓国観光大学ホテル調理科2年に在学中のキム・ダウンさん(20)は「ホテル調理科は普通、1学期のうち4カ月は実習をする学科だが、昨年は2カ月、今年は3カ月半実習したのが全部。もう卒業を迎えるのに、できたことがほとんどなくてもどかしい」と打ち明けた。
生活費を稼ぐためのアルバイト先が減ったのも問題だ。カフェでアルバイトをしている大学生のKさん(23)は「営業制限時間が繰り上げられたのを見て、他のアルバイトを探さなきゃならないかなと、真っ先にそんな心配をした」とし「距離措置の延長にもかかわらず、周辺には遊びに行く人も多く、規制が厳格に行われるとは思えず実効性に疑問がある」と話した。
小学生の子どもを持つ親は、新型コロナの拡散に憂慮を示しながらも、学習の空白を防ぐために全面登校などを通じた正常な授業が行われるべきだと口をそろえて言った。小学2年生の娘を持つCさん(37)は「大人も40分以上テレビ会議をするとなかなか集中できないのに、集中力の落ちる子どもたちがテレビ授業に集中するのはもっと難しい」とし「子どもたちが長い間学校に通わないと学力低下の問題につながるのは明らか」と話した。高校生と中学生の子どもを持つキム・ヒョンスクさん(45)も「2人の子どもたちはいま登校しているが、子どもたちが規則的に生活するようになって嬉しい」とし「学校はちゃんと防疫ができる方なので、不安でも全面登校をした方がいい」と話した。教育部は9月6日から距離措置レベル3の地域を対象に全面登校を実施することにした。レベル4の地域では、小・中・高校ごとに生徒数の3分の2前後が登校することになる。
現行の距離措置の延長に対する労働者の反応は分かれた。事務職・大企業の労働者からは会食など職場の行事が減ったので安心できるという意見が出たが、製造業の労働者などは困難を訴えた。建設会社の事務職のKさん(35)は「距離措置レベル4の期間には飲み会など課の行事が全くなく、毎日定時退勤することができたし、私的な集まりによるコロナ感染の心配は大きくなかった。距離措置延長を歓迎する社員が多い」と話した。一方、製造会社の生産職であるキム・ハンスさん(30)は「事務職の社員は距離措置レベル4では半分ずつ在宅勤務をしているというが、現場の業務が必須の生産職には絵に描いた餅」だとし「毎朝工場に集まって出勤し、昼食には社内食堂に集まって食事をするのに、距離措置延長に何の意味があるのか、という気がする」と話した。
距離措置期間が延長され、宅配・配達労働者など必須労働者の間では業務が過重になったという声が出ている。宅配労働者のキム・ドギュンさん(49)は「コロナの距離措置段階が長い間維持され、宅配の物量自体が大きく増え、特にデリバリーは使い捨て容器などかさばる品物を注文することが多く、これを配達するのが大変だ」とし「大きさに比例する費用の基準が合理的でないため、かさばるものを配達しても損する構造だ。(距離措置で)集会もできず、私たちの意見をまともに出すこともできない状況」と述べた。