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//ハンギョレ新聞社

　就業者といえば会社に出勤したり、自分の事業を展開しつつ週5日以上働いたりする姿を思い浮かべるが、国際労働機関（ILO）の定義による就業者はやや異なる。「労働形態を問わず、収入を目的として週に1時間以上働く者」となっている。統計庁の雇用統計基準も同様だ。

　このような基準によると、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長は就業者なのだろうか。あるいは違うのだろうか。働く時間のみを見れば就業者のように思える。法務部の決定を受けて今月13日に仮釈放されたイ副会長は、直ちにソウル瑞草区瑞草洞(ソチョグ・ソチョドン)のサムスン電子社屋を訪れた。報じられたように、核心事業部社長などの経営陣と会って懸案の報告を受け、経営状況まで確認していたら、1時間ではとても足りなかったはずだ。

　就業者の定義の中には、これとは異なる見方をする余地が含まれている。「収入を目的として」という部分だ。現在は未登記で非常勤状態のイ副会長は、「国政壟断事件」で裁判の開始された2017年2月から現在まで無報酬で働いてきた。統計庁の基準に従うなら、就業状態ではないと言えるわけだ。

　特定経済犯罪法上の就業制限違反だと批判されるイ副会長やサムスン電子にとっては、救命ロープのように考えられるだろう。就業状態でなければ規定違反であるはずがないからだ。このような論理で批判を避けた前例もある。SKグループのチェ・テウォン会長だ。チェ会長は2014年に横領で有罪判決を受け、就業制限の対象となったが、未登記で無報酬だとの理由で会長職を維持した。

　統計庁の就業者分類には、二つのカテゴリーがさらにある。職業を持っているにもかかわらず、調査対象期間中に特定の理由で一時休職中となっている者がその一つだ。休職事由の解消後には職場に復帰するため、就業者に分類されるのだ。もう一つは、無給で1週間に18時間以上家族の仕事を手伝うケースだ。イ副会長がこれに当たるかどうかは別として、無報酬がすなわち未就業というわけではないということだ。

　経済改革連帯は、特定経済犯罪法の関連規定の趣旨に沿って判断すべきだと主張している。就業制限規定は経済犯罪の再発の可能性を遮断し、犯罪行為と密接な関連を持つ企業に一定期間影響力を行使できないようにすることで企業を保護するものだという説明だ。これは今年2月、錦湖石油化学のパク・チャング会長に関する裁判の際、ソウル行政裁判所が判例として示している。また、イ副会長が仮釈放当日にサムスン電子本社に出勤して経営陣に会い、懸案について話し合ったのは明白な規定違反だと経済改革連帯が主張する根拠となっている。

　パク・ポムゲ法務部長官は18日、記者団に対して「無報酬、未登記役員、非常勤という3つの条件が、就業状態にあるかどうかを判断するうえで最も重要な要素と考えている」とし「(イ・ジェヨン副会長が)無報酬、非常勤状態で日常的に経営に参加するのは就業制限の範囲内にある」と述べている。

　パク長官がイ副会長について就業制限規定違反の状態ではないと述べる直前ですら、法務部側の態度は曖昧だった。イ副会長の就業に関する本紙の問いに対して法務部報道官室は「今後、イ副会長側が就業制限解除を申し立てる可能性のある状況において、この程度までが就業だとか、そうではないなどと我々が前面に立って基準を語るのは難しい」と答えている。パク長官が問題の発言を行った、まさにその日のことだ。就業か否かについて、法務部も明確な区別がついていなかったわけだ。法務部は今年2月、イ副会長は就業制限対象者だとしてサムスンに釘を刺している。イ副会長が今年1月に国政壟断事件破棄差し戻し審で2年6カ月の実刑を言い渡されたことに伴う措置だ。

　興味深いのは、パク長官が示した3つの条件(無報酬、未登記役員、非常勤)は、故イ・ゴンヒ会長にもぴたりと当てはまるということだ。故イ会長は、裏金事件で2008年にサムスン特検による捜査の中間結果が出た際に未登記会長に身分を変え、以降は未登記会長として「在職」してきた。大統領特別恩赦によって経営復帰をした後に「若い組織論」「有望な新しい事業の発掘」といった主要経営懸案について言及した時期にも、無報酬未登記役員で出勤は断続的だったため、出勤の度に取材陣が殺到する現象が繰り返された。その期間中、イ会長は報酬を受け取っていなかった。パク長官の解釈によると、当時の故イ会長は就業者ではなかったことになる。