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難民申請者を14カ月空港に留まらせたのは「違法収容」…韓国法務部に判決

登録:2021-08-19 07:02 修正:2021-08-19 10:11
仁川国際空港第2ターミナルのガラス越しに青空が見えている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 乗り継ぎ客という理由で外国人難民申請者を空港乗り継ぎエリアに約14カ月滞在させた韓国法務部の決定は、「人身の自由を制限した違法収容」という裁判所の判断が下された。難民申請を受け付けず、空港の乗り継ぎエリアに放置する行為は違法収容に当たるとして、裁判所が待ったをかけたのだ。

 18日の本紙の取材を総合すると、仁川地裁刑事1~2部(コ・スンイル裁判長)は、アフリカ出身のAさんが「空港乗り継ぎエリアでの拘禁を解除してほしい」として法務部仁川空港出入国・外国人庁を相手取って起こした人身保護救済請求訴訟の抗告審で、原審を覆し、A氏に対する収容は「強制的な違法収容」だと判断した。

 Aさんは昨年2月、故国の政治的迫害から逃れ仁川国際空港に入国し、難民申請を行おうとしたが、出入国事務所はAさんが空港での乗り継ぎ客にすぎず、入国資格がないとして、難民認定申請権を認めなかった。結局、彼は14カ月(423日)空港の乗り継ぎエリアで寝泊まりした末、今年4月、収容臨時解除申立てを受け入れた裁判所の決定で空港の外に出ることができた。

 仁川地裁はAさんがすでに空港を出たため、判決の実益がないとして請求を却下した。これに先立ち、一審は法務部の措置に法律的問題がないとして棄却判決を下した。一方、法務部がAさんを空港乗り継ぎエリアに放置したことについては、法的根拠のない違法だという点を明確にした。

 同地裁は「(法務部側は)昨年2月、仁川国際空港乗り継ぎエリアで大韓民国への入国のための難民申請の意思を示したにもかかわらず、難民法が定めた難民認定申請手続きを開始せず、大韓民国への入国を認めなかった。その後、外部への出入りが統制される限られた空間である乗り継ぎエリアで長期間滞在するよう強制した」とし、「入国が認められない外国人だとしても、(法務部の決定は)法律上根拠なく人身の自由を制限するもので、違法収容に当たる」と述べた。

 これに先立って法務部は、Aさんが自主的に乗り継ぎエリアにとどまっており、ほかの国へも行くことができるため、自由な意思に反した収容や保護、監禁には当たらないと主張した。これを受け一審は「Aさんが乗り継ぎエリアにとどまっているだけで、収容・保護または監禁されたとはいえない」として、原告敗訴の判決を言い渡したが、抗告審はこれも受け入れなかった。同地裁は判決理由について、「(法務部の主張は)Aさんが不当に難民申請の意思を放棄するよう強制することを前提にしており、むしろこのような主張を通じて、Aさんが難民申請の意思を放棄しなければ乗り継ぎエリアにとどまるほかないことを法務部も認めている」とした上で、「これを受け入れた原審の決定は違法だ」と付け加えた

 裁判所の判断は、出入国管理所の決定だけで空港に収容または拘禁される難民申請者に対する権利の改善に影響を及ぼすものとみられる。Aさんの代理人である社団法人ドゥルのイ・ハンジェ弁護士は「乗り継ぎエリアに強制収容された『空港難民』は難民認定を受けるために行政訴訟を進めても空港の外に出ることができなかった。(しかし)今回の判決で裁判所がこうした行為は違法収容だという点を明確にしたため、今後法務部も彼らを放置して責任を回避することはできないものとみられる」とし、判決の意義を評価した。Aさん同様、アンゴラ出身のルレンド一家も入国目的が不明だという理由で出入国管理所によって難民認定審査を受けることができず、空港ターミナルの搭乗エリアで287日間滞在していた。

 Aさんは現在、イ弁護士と民間支援団体などの支援を受け、難民審査を準備している。

チャン・イェジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1008178.html韓国語原文入力:2021-08-1902:43
訳H.J

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