韓国で新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続き、重症患者数が370人を超えており、近いうちに病床の余力が限界に達するという懸念の声が上がっている。まだ新型コロナ重症患者病床のうち298床(36.8%)が残っており、韓国政府は追加確保にも乗り出したが、高齢者のうち相対的に重症化のリスクの高い60~74歳の予防接種がまだ完了しておらず、今後1カ月がヤマ場になる見通しだ。
中央事故収拾本部(中収本)は11日午後5時基準で、全国に確保された「重症患者専用病床」810床のうち、512床(63.2%)が埋まっていると発表した。重症から状態が好転したり、または重症化する可能性が高い患者のための「準重症患者病床」は、419床のうち272床(64.9%)が使用されている。一部では、1日2千人規模の新規感染者が発生し今後も感染拡大がさらに進む可能性があるだけに、近いうちに重症・準重症患者の病床が限界に達するとみている。
これを受け、中収本も全国の総合病院級以上の病院に、新型コロナ患者の治療のために使う重症患者病床を各病院全体の重症患者病床の1%から1.5%に増やすよう要請している。福祉部の関係者は「平均重症化率を3%、入院期間を14日とすると、2100人規模の1日感染者の発生が半月ほど続けば、重症患者病床の余力が限界に達するとみている」とし「そうなる前に、あらかじめ病床を準備しておく考えだ」と述べた。韓国政府は各病院の協力を得るため、病院が新型コロナ患者向けに「重症患者専用病床」を提供した場合これまでの病床当たりの診療費(1日40万~70万ウォン)の5~10倍を支援することにしている。新型コロナ患者を治療すれば10倍、新型コロナ患者用に空けておくだけでも5倍を支援される。
50~60代が重症の60%を占める…接種完了が根本的な対策
社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の効果が限定的である中、根本的な対策は高齢層に2回目のワクチンを早く接種することだという指摘もある。実際に重症患者の発生傾向を見ると、2回目まで接種を完了した人の比率は低く、50~60代で重症患者が最も多く発生している。一方、接種完了者の割合の高い80歳以上やそもそも致命率の低い20~30代では重症患者が少ない。
実際、現在、重症患者372人のうち、接種完了者の割合が8.73%である50代が136人(36.56%)と最も多かった。接種完了率が8.99%の60代が重症患者の22.58%(84人)を占め2番目に多く、接種完了率10.14%でやはり低い40代も14.25%(53人)を占めた。一方、接種完了者の割合が42.35%である70代は9.41%(25人)、接種完了者の割合が87.39%と高い80歳以上は5.91%(22人)で、重症患者数が少なかった。60~74歳の2回目の接種は同日に始まり、9月中旬に終わるが、このような年齢層の接種完了率が低い点が現在としては医療対応において最も大きな危険要素になっている。
重症度の分類がきちんと行われず、必要以上の重症患者病床が使われているという指摘もある。同日、本紙が確保した中収本患者病床管理チームが全国70の重症患者治療病院を調査した結果によると、今月7日現在、重症患者専用病床に入院した495人のうち368人(74.3%)だけが、高流量酸素療法や人工呼吸器、体外膜酸素供給(ECMO)などの治療を受けている患者だった。残りは実質的に重症患者と見ることはできないが、重症患者専用病床に入院しているわけだ。また、重症患者専用病床ではない「準重症患者専用病床」でも治療が可能な「高流量酸素療法」の治療患者は202人で、重症患者の半分を超える。
これについてある治療病院関係者は「第3波のときは70歳以上で最重症患者が多く発生したとすれば、今はまだ接種を完了していない50~60代で重症度がやや低い重症患者が多く発生している傾向」だとし、「患者を受け入れれば支援金が5倍から10倍に増えるので、重症ではなくても病床に入院させるモラルハザード問題も解決しなければならない課題」と指摘した。中収本のソン・ヨンレ社会戦略班長はこの日「重症患者病床を追加で確保することに対し、病床運営をさらに効率化する案も推進している」と述べた。