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「イ・ジェヨンの仮釈放は財閥特恵」…市民団体が反発

登録:2021-08-10 02:14 修正:2021-08-10 10:53
パク・ポムゲ法務部長官が9日午後、京畿道果川市の政府果川庁舎の法務部ブリーフィングルームで、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の仮釈放を決めた法務部仮釈放審査委員会(審査委)の結果を発表している/聯合ニュース

 法務部によるサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の仮釈放決定に、市民社会団体が強く反発している。市民団体は、イ副会長が「違法継承疑惑」などの別の容疑でも裁判中であるにもかかわらず仮釈放されたのは「異例の特恵」だと批判した。

 参与連帯は9日、イ副会長の仮釈放決定が発表された直後に論評を出し、「イ副会長の仮釈放は財閥トップに対する特恵の決定であり、司法正義に対する死亡宣告だ」と批判した。参与連帯は「大統領を弾劾させる国政壟断の罪を犯しても仮釈放されるなら、今後どの財閥トップが法を守るというのか。どんな重大犯罪者に仮釈放の不許可決定が下せるのか」とし「今回の仮釈放は、韓国社会に広まった『無銭有罪、有銭無罪』認識を再び強固にする結果」を招くとの懸念を示した。

 また参与連帯は、企業家の赦免について主張をころころ変える政界を批判した。参与連帯は「(大統領選)候補時代から、財閥トップに対する赦免権を制限すると述べていた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、約束を覆したとの批判世論が起きると『国民のコンセンサス』などをあげてボールを法務部長官に押し付ける無責任な態度を示した」とし、「文大統領はイ副会長の仮釈放決定に対する責任を取って国民に謝罪すべき」と主張した。またパク・ポムゲ法務部長官に対しては「関連資料をすべて隠すことなく公開し、特恵的な決定が下されたことに対する責任を取って辞任すべきだ」と述べた。

 イ副会長が別の容疑で裁判を受けている中で仮釈放が決定されたことについても「異例の特恵」という批判が相次いだ。経済改革連帯は論評を通じて「イ・ジェヨン副会長は現在、サムスングループの支配権継承疑惑に対する刑事裁判の一審が行われている。事実上、一つの事件の一部に当たる裁判が進められている中で仮釈放された前例は見られないため、明白な特恵と考えられる」と指摘した。経済正義実践市民連合は「イ・ジェヨンは、一般の犯罪者であれば決して受けることのできない法外な司法的特恵をすでに受けている。背任、横領、贈賄などの重大経済犯罪を犯したにもかかわらず、わずか懲役2年6カ月という特恵を受けているのだ。にもかかわらず、今回再び『サムスン財閥トップだけのための仮釈放特恵』を受けたわけだ」と批判した。

 今回の仮釈放で、仮釈放制度の本来の趣旨が歪曲されかねないとの懸念も示されている。民主社会のための弁護士会(民弁)はこの日、文書で立場を表明した。その中で「重大犯罪に対する裁判が進められている中で仮釈放が行われた前例はほとんどないということに鑑みると、仮釈放審査委員会が検察の不動の意見と先例を無視してまでイ・ジェヨン副会長の仮釈放を許可したことは、財閥に対する特恵」だと指摘した。続いて「仮釈放は、受刑者が懺悔しつつ誠実に刑罰を受けている場合に、社会に早期に復帰させ正しい市民として暮らさせる制度」だとし「重大な罪を犯した人間が財閥だという理由で簡単に仮釈放されるとすれば、韓国の司法制度の公正性を重大に害する結果を招く」と述べた。

 全国民主労働組合総連盟(民主労総)などの労働界も憂慮の声をあげている。民主労総は「国政壟断の中心人物かつ主犯に対する断罪を拒否したもので、この国が財閥共和国、サムスン共和国であることを証明したもの」と反発した。続いて「(政府が)口を酸っぱくして叫び、強調してきた正義、公正、公平は資本の正義、公正、公平だった。イ副会長の仮釈放はろうそく精神の後退であり毀損」だと批判した。

チョン・ホソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1007045.html韓国語原文入力:2021-08-09 20:37
訳D.K

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