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「社会還元と赦免は別」…サムスン副会長「赦免」論議を打ち消す韓国与党

登録:2021-04-30 02:44 修正:2021-04-30 08:40
違法継承裁判中に赦免は現実的に不可能
1月18日午後、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が、国政壟断事件破棄差し戻し審の判決公判が行われるソウル瑞草区のソウル高裁に向かっている様子=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子の故イ・ゴンヒ会長の遺族による社会還元計画公開後、「イ・ジェヨン副会長赦免論」も強まっているが、政府与党は「赦免は別の問題」であり「大統領の赦免権は最小化すべき」として一線を引いている。

 人事聴聞会を準備中のキム・ブギョム首相候補は29日、ソウル通義洞(トンウィドン)の金融監督院研修院への出勤途上、記者団に対し、「貴重な文化財を国民のもとに返還したことについては高く評価する」としつつも、「赦免論は、その問題とは別に、赦免権を持つ大統領が様々な別の要因も考慮しなければならない。この問題一つで考えるわけにはいかないのではないか」と述べた。巨額寄付と赦免は別問題と強調し、赦免論に否定的な立場を示したものだ。赦免の実行部署である法務部のパク・ポムゲ長官も前日、「厳正な法の執行を担当する法務部長官としては、(イ・ジェヨン赦免を)考慮してはいない」と明かしている。大統領府も27日、経済5団体による「イ・ジェヨン赦免建議」について、「検討しておらず、現在としては検討する計画はない」と一蹴している。

 イ副会長の赦免は現実的に不可能でもある。イ副会長は今年1月に国政壟断贈賄などで懲役2年6カ月が確定しているが、サムスン物産と第一毛織の違法合併事件で起訴され、22日になって初めて一審の公判に出席した。これまで刑の確定前の裁判中に被告を大統領が赦免した例はほとんどない。生前のイ・ゴンヒ会長も、サムスンSDSの新株引受権付社債(BW)を不当な安価で発行した容疑で、2009年に執行猶予付きの刑が確定し、赦免を受けたのはその4カ月後だ。裁判中の赦免は、被告人の有罪・無罪を判断する司法府の権限を侵害するからだ。政府と同じく与党も赦免論を一蹴している理由はここにある。共に民主党のユン・ホジュン院内代表は最近、メディアのインタビューで「この問題は、(国政壟断事件で収監中の)朴槿恵(パク・クネ)前大統領ともつながっている。赦免問題は経済領域だけで判断する事柄ではない。基本的に大統領の赦免権は最小化するのが原則」と述べた。民主党のパク・ジニョン副報道担当は29日、フェイスブックに「法的に当然納めるべき相続税を納めることが、そんなに立派なのか。朴槿恵赦免とはまた性格が違う。(イ副会長の赦免は)典型的な有銭無罪の主張」と記した。そして、イ・ゴンヒ会長の財産の社会還元計画とイ・ジェヨン赦免を結びつける経済団体とメディアの世論作りに対して「『サムスン礼賛』のせいで吐きそうだ」と強く批判した。

 与党内でイ副会長の赦免を主張しているのは、同党の半導体技術特別委員会委員長のヤン・ヒャンジャ議員がほぼ唯一で、それも「国民的同意」を前提としたものだ。ヤン議員はサムスン電子の元役員だ。この日、半導体特委の第2回会議が開かれたが、この席でイ副会長の赦免についての議論はなかったという。同委員会副委員長のキム・ギョンマン議員は「(イ副会長の赦免は)特別委員会で議論する事柄ではない」と述べた。

ソン・チェ・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/993138.html韓国語原文入力:2021-04-29 11:38
訳D.K

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