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元祖韓流の高麗人参とDMZのパッケージツアーで「最強の旅行商品」目指す

登録:2021-06-21 08:56 修正:2021-06-22 06:02
京畿道坡州市のゲストハウス「DMZステイ」のユン・ソルヒョン代表=パク・キョンマン記者//ハンギョレ新聞社

 「若い世代が非武装地帯(DMZ)の開城(ケソン)高麗人参体験を通じて南北間の同質性を確認し、新しい感覚と視線でDMZを見て感じられるよう、お手伝いしていきたいと思います」

 今月14日、京畿道坡州市臨津閣(パジュシ・イムジンガク)前のムン山邑馬井1里(ムンサンウプ・マジョン1リ)にあるゲストハウス「DMZステイ」で会ったユン・ソルヒョンさん(54)は、開城高麗人参体験観光を始めた理由について、「南北の共有資産である開城高麗人参は千年前から韓流の元祖であり、高麗人参には南も北もないため」と語った。

 彼が初めて試みた開城高麗人参を活用したDMZ体験観光事業は、今月初め坡州市の「坡州テーマ型商圏再生プロジェクト」に選ばれたのに続き、「ダークツーリズム(戦争跡地や災害被災地など悲劇にまつわる場所を訪問するツアー)の新領域、DMZ開城高麗人参ステイ」をテーマに中小ベンチャー企業部が公募した「2021年地域基盤ローカル・クリエイター活性化支援事業」にも選ばれ、弾みがついた。これにより、体験カフェのリモデリングと事業初期プログラムの運営などに必要な資金は確保された。

 来月から、民間人出入統制区域(民統線)内の高麗人参農場と自分のゲストハウスを連携し、高麗人参に特化した「DMZ体験観光」を本格的に進める方針だ。同ツアーの参加者らは、高麗人参を直接収穫するとともに、高麗人参を使った加工食品やデザート、ミニ植木鉢作りを体験できる。

 サラリーマンだったユンさんは、4年前にソウルを離れ、「DMZステイ」を運営する傍ら、臨津江生態探訪路や「平和ヌリ道」などの環境解説者も務めている。彼がこの事業を思いついたきっかけは、ゲストハウスで会った観光客との会話だった。「南北の板門店(パンムンジョム)を両方とも訪れたことのある日本人観光客から、南北のガイドの説明が違うという話を聞きました。例えば北朝鮮ではポプラ事件と呼びますが、韓国では板門店斧蛮行事件と呼びます。外国人観光客にも板門店をめぐる南北の相反する見方を押し付けるDMZになってはいけないと思いました」

 南北の同質性を回復する方法について悩んでいたユンさんは、臨津閣で開かれた坡州開城高麗人参祭りで観光客と高麗人参の天ぷらを食べながら「ここで食べる高麗人参も、開城で食べる高麗人参も、味は同じだろう」と思ったという。そして、DMZの開城高麗人参こそ過去、現在、未来にも南北が一つであることを共感できる歴史的資源だという考えに至った。

 その後、外国人観光客にDMZ高麗人参畑を見せながら説明したところ、なぜ「開城高麗人参」という名前が付いたのかを不思議に思っていた観光客たちが「シムボァッタ(神の心を見たという意味で、山参を発見した際、仲間に知らせるために叫ぶ言葉)」、「アメージング」と言いながら、感心した。坡州DMZ一帯には、旧長湍郡(チャンダングン)だけで243世帯の農家で153ヘクタールの面積の高麗人参栽培をしており、基盤は十分だった。

外国人観光客が昨年8月、京畿道坡州市の民統線内の開城高麗人参農場で高麗人参体験観光に参加している=ユン・ソルヒョン代表提供//ハンギョレ新聞社

昨年8月、民統線高麗人参体験観光に参加したある外国人観光客=ユン・ソルヒョン代表提供//ハンギョレ新聞社

 さらに、現在、坡州市で運営している第3トンネルや都羅展望台、民統線村を巡る「DMZツアー」は、年間60万人が参加しているが、3時間の短い見学コースで、観光客を呼び寄せるためには新たなコンテンツ開発が必要だと、普段から感じてきたところだった。

 「なぜ観光客を3時間で帰さなければならないのか、なぜDMZ観光は写真で見たものを自分の目で確認する程度にとどまっているのか、いつも残念でなりませんでした。真の平和観光になるため、分断と違いを強調するのではなく、本来は一つだったことに共感できるコンテンツが必要であり、DMZ高麗人参体験が最適だと思いました」

臨津閣前のゲストハウスと連携して 
来月からDMZ高麗人参体験が本格的に始まる 
掘り出しに参加し、加工食品の生産体験も 
「高麗人参には南も北もない 
平和観光のための良質なコンテンツ」 
4年前にソウルを離れ、ゲストハウスをオープン

 ユンさんは高麗人参体験観光が高麗人参農家と住民の雇用創出、地域経済の活性化にも役立つと期待している。ユンさんは「6年根の高麗人参農業は土地を探すのがますます困難になっているが、体験観光で多様な収益構造を作れる。高麗人参農業自体が無形文化財級の民族の資産であり、保存すべきだ」と述べた。

 食堂を廃業した友達の家を借りて12人が収容可能な坡州唯一のDMZゲストハウスをオープンしたが、紆余曲折が多かった。開業して間もなく南北首脳会談が開かれ、予約の電話が殺到したが、その後、南北関係の悪化やアフリカ豚コレラの流行、コロナ禍などが相次ぎ、客足が遠のいた。弱り目に祟り目で、京畿観光公社が近くの臨津閣キャンプ場に4~6人部屋のキャラバンを40棟も設置し、被害はますます大きくなった。「商店街にスーパーが入る場合でも事前調査を行うのに、何の話もせずにホテル数軒規模のキャラバンを入れるなんて、『変種宿泊業』だと京畿道と坡州市に抗議もしましたが、なにも変わりませんでした。それでも、小さな規模のゲストハウスだからこのような外部の衝撃に耐えることができたと思います」

 彼は「平和ヌリ道を歩く旅行客は宿泊先がなく不便を強いられているが、事業性が低いため宿泊施設がなかなかできない。持続可能な観光にするためには、臨津閣を中心とした大規模観光事業から抜け出し、小規模の観光主体が様々なサービスを提供していかなければならないと思う」と助言した。

 「DMZと高麗人参はどちらも朝鮮半島にしかないもので、この二つを結び付けると、グローバル認知度の面でも、韓国最強の観光商品になると思います。地域の人たちとともに世界的な飲料ブランド『サンキスト』のように開城高麗人参を基盤に、初の南北共同ブランドを作ることが夢です。フランスの古城ワイナリーツアーのように、世界的な体験観光モデルになることを期待しています」

パク・キョンマン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1000130.html韓国語原文入力:2021-06-21 02:37
訳H.J

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