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「夜9時以降の営業制限」コロナの不安の中で補欠選挙の争点に

登録:2021-01-23 02:28 修正:2021-01-23 07:06
19日午後、ソウル梨泰院の通り沿いに「9時以降の営業制限措置」などの政府の政策に抗議する横断幕が掲げられている/聯合ニュース

 新型コロナウイルス感染症の第3波が落ち着きを見せはじめるとともに、自営業者の反発が続いていることから、4月に行われるソウル市長補欠選挙に出馬した野党政治家を中心として、「夜9時以降」の大衆利用施設の営業制限措置を解除すべきだとの主張が提起されている。政府と防疫専門家は、流行がまだ安心できる水準ではないため、制限措置を通じた接触と移動を減らす努力は不可避との説明を重ねて行っているが、政治的争点となっていることから、防疫論争はさらに加熱する見通しだ。

 チョン・セギュン首相は22日に開かれた中央災害安全対策本部(中対本)の会議で「ただでさえ苦しんでいる自営業者の不安に付け込んで、選挙に利用しようとする一部の政治家の態度は実に嘆かわしい」とし「夜9時以降は食事後の2次活動が急増する時間帯であり、会合や接触の機会が増え、移動量も増加する。深夜になるほど現場の防疫管理が難しくなるという現実的問題もある」と述べた。

 これは、ソウル市長補欠選挙の予備候補である国民の力のナ・ギョンウォン前議員、オ・セフン元ソウル市長、国民の党のアン・チョルス代表が揃って夜9時以降の営業制限措置を批判していることに対する反論だ。ナ前議員は19日に九老区(クログ)にあるフィットネスクラブを訪問し、「ジムの営業は午後9時までと言うが、会社員が仕事を終えてそのような短い時間で利用しろとは」、「防疫守則が肌で感じられるようにしなければならない」と述べた。オ元市長は21日に「営業制限ではなく事実上の営業禁止」と述べており、アン代表は「コロナウイルスは夜行性動物か。非科学的かつ非常識な営業規制だ」と主張している。

 しかし専門家は、夜9時以降の制限措置の「効果」は明らかだと強調しつつ、ただし自営業者の被害が累積していることを考慮して「施設ごとの危険度に沿った段階的緩和」を助言している。国立がんセンターのキ・モラン教授(予防医学)は「コロナウイルスの感染力に昼夜の違いがあるのではなく、退勤後の夜になると大衆利用施設の密集度が昼より高まるということ」と話し、「現在の危険度では依然として退勤後すぐ家に帰るべきだが、夕食は取らねばならないから、通常の『2次会』が始まる夜9時の前に少し余裕があると理解すべき」と話した。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「夜9時以降の営業制限措置は、会合を抑制する効果は明らかにあり、現在は(感染者の)減少傾向が続いているとはいえ、いつでも再拡散しうる不安定な時期なので、会合制限は必要だ」とし「制限解除の議論をするのは少し早い。これからは非常に慎重に防疫措置を議論していかねばならない」と述べた。

 防疫当局は、現行の社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)レベルの実施期限である今月末まで、制限措置に変更はないと明らかにした。中央事故収拾本部のユン・テホ防疫総括班長は「現在、感染者数は第2波のかなり多くの感染者がいた時期と似ており、決して安心できる状況ではない」とし「夜9時以降の営業制限は、31日を過ぎた後にどうなるか案内できるだろう」と述べた。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/980009.html韓国語原文入力:2021-01-22 18:17
訳D.K

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