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[社説]韓国検察総長をめぐる議論、これ以上政治運営の負担になってはならない

登録:2020-12-26 07:53 修正:2020-12-26 09:55
裁判所の懲戒停止決定により業務に復帰したユン・ソクヨル検察総長が25日午後、クリスマス休日にも関わらず最高検察庁に出勤している/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は25日、ユン・ソクヨル検察総長への懲戒の効力を裁判所が停止させたことについて、国民に対し謝罪した。文大統領は「裁判所の決定を尊重する。国民に不便と混乱を招いたことに対し、任命権者として謝罪申し上げる」と明らかにした。法務部のユン総長への懲戒を大統領が裁可したことを考えれば、この発言は、結果的に懲戒決定が適切ではなかったことを認めたと解釈できる。もうこれ以上、ユン・ソクヨル検察総長の進退をめぐる議論が国政運営の負担にならないことを願う。

 文大統領の言及は、大統領府のカン・ミンソク報道官を通じ伝えられた。しかし、いわゆる“チュ法相とユン検察総長の対立”が極めて長く激しく展開され、国民を混乱させたという点で、任命権者である文大統領が国民に直接自分の考えを示し理解を求める過程が必要だろうと思われる。それでこそ、検察改革に対する国民の支持をより堅固にできるはずだ。

 裁判所の決定に対しては、様々な評価と議論がありうる。ただし、検察改革の成功のためには、個人の進退より制度的装置を定着させるようにすることがより重要だということを、政府・与党が心に刻むことが必要だ。今回の件で検察に対する民主的統制が挫折したという意見もあるが、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が発足し、検察と警察の捜査権の調整を通じ、検察の権限の相当部分が警察に渡されるなど、これまでに成し遂げた制度改革の成果が大きいことは明らかだ。今後、公捜処を国民の信頼を得られる機関として安着させ、警察の捜査権拡大が人権侵害につながらないよう、力を入れていかなければならない。

 ユン・ソクヨル検察総長は25日、業務に復帰した。ユン総長は、司法府の決定の意味をよく胸に刻み、検察の捜査をめぐる公正性と政治的な議論がこれ以上広がらないよう留意しなければならないだろう。裁判所の決定文を読むと、ユン総長の懲戒事由の4件のうち、「判事査察文書」と「チャンネルA事件監察妨害」については事由が認められたとみられる。特に、判事査察について「極めて不適切であり、今後このような文書が作成されてはならない」と指摘したことを、深く省みなければならない。文大統領が国民に対し謝罪して「公正で節制された検察権の行使」を注文したのも、そのような流れだろう。チュ・ミエ法務部長官は事案の重さに照らし、懲戒決定の過程で重大な欠点があったという裁判所の指摘を重く受けとめなければならない。

 大統領が謝罪し検察総長は業務に復帰したが、重要な論点は今もなお残っている。裁判所は「行政府の一員である大統領が、行政府の一員である検察総長に対する人事権を行使したことを執行停止させるのは、公共の福利を侵害する」という法務部の意見を受け入れなかった。しかし、“国民により選出された大統領”が政務職の公務員である検察総長を懲戒したことを受け、“選挙で選ばれていない判官”である司法府が最終判断することがはたして適切かという指摘には一理ある。この問題は大統領制の起源の米国でも長い論争の種だった。三権分立と大統領権限および責任に関する建設的な論争は今後も必要だろうと思われる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/975958.html韓国語原文入力:2020-12-26 02:04
訳M.S

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