本文に移動

文大統領のリーダーシップに打撃…衝撃受けた大統領府、本日立場発表なし

登録:2020-12-25 07:48 修正:2020-12-25 09:32
文大統領が強調してきた「手続きの正当性」にも傷 
文在寅政権の検察権力制御にも失敗
大統領府の全景=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「裁判所の判断が遅い時間に出ました。本日、大統領府の立場発表はありません」

 24日、裁判所がユン・ソクヨル検察総長の申し立てた懲戒処分執行停止を受け入れた後、カン・ミンソク大統領府報道官が記者団に送ったショートメッセージの公示。大統領府が受けた衝撃の大きさを見せる断面だ。ユン総長の職務排除執行停止申立ての認容に続き、この日再びユン総長の肩を持った裁判所の判断で連打を受けたということだ。停職2カ月の適法性を問う本案訴訟が残ってはいるが、これまで裁判所が事案の重大性を考慮して本案訴訟の範囲まで審理を進めただけに、今後の訴訟の結果も大統領府にそれほど有利とはいえない。

 文大統領は今月16日、法務部検事懲戒委員会の「停職2カ月」の議決を裁可した後、「検察が正されるきっかけになることを願う。検察総長の懲戒をめぐる混乱を一段落させて、法務部と検察の新たな出発を期待する」と話していた。「一段落させて」と「新しい出発」を強調しようとしたが、失敗に終わった。

 同日の裁判所の判断によって、ユン総長に対する懲戒はこれまで文在寅大統領が一貫して強調してきた「手続きの正当性」と「公正性」を損ねる措置と受けとめられることになった。文大統領は3日、「手続きの正当性と公正性の確保が重要だ」というメッセージを出し、これに対しチュ・ミエ法務部長官はユン総長が提出した懲戒審議延期要請を受け入れ、審議期日を遅らせた。「チュ・ミエ長官対ユン・ソクヨル総長」の二人の衝突に何らかの“関与”もしなかった文大統領としては、手続きの正当性は必ず守らなければならない「砦」だった。

24日、瑞草洞の最高検察庁の全景/聯合ニュース

改革の大義、「ユン・ソクヨルとの戦争」で色あせる

 文大統領の「原則論」が傷つけられただけでなく、大統領府はユン総長に代表される検察権力の制御に失敗したという評価を受けることになった。文在寅政権は検察の民主的統制や検察権力の牽制・分散のために孤軍奮闘したが、「チュ長官対ユン総長(法務部vs検察)」の衝突を経て、「検察改革」の大義は「ユン・ソクヨル総長との戦争」に矮小化された。ユン総長に対する監察・職務停止・懲戒などチュ長官が主導した一連の措置が荒っぽく不備があったという批判が多かったが、文大統領はチュ長官に自制を要請する正確なシグナルを出さなかった。結局、チュ長官は大統領府と十分な事前協議なしにユン総長に対する職務排除・懲戒請求を決定し、ことあるごとに裁判所の判断によって妨げられた。チュ長官が起こした渦に大統領府が巻き込まれたわけだが、チュ長官がすでに辞任の意思を表明したため、その責任もそのまま大統領府のものとして返ってくるほかない。これまで検察が節制なく振り回してきた捜査の刃すらも、「生きた権力」に向けたものだったと正当性を主張する口実を作った。

チュ長官の後任、公捜処の発足に向け準備か

 これで再び復帰したユン総長は、任期を1年5カ月残した文在寅政権を狙って刃を研ぐものとみられる。ユン総長は2日、1回目の復帰のときにも大田(テジョン)地検で捜査中の月城(ウォルソン)原発1号機の早期閉鎖に関する捜査の業務報告を受け、大田地検は直ちに捜査中だった産業通商資源部公務員3人に対する拘束令状を請求した。

 今後大統領府は、チュ長官の後任を探すことと高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の発足に力を入れるものとみえる。しかし、権力の統制が緩む任期後半に大統領のリーダーシップが大きな打撃を受け、これを挽回する突破口を見出すのは簡単ではない。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/975873.html韓国語原文入力:2020-12-25 02:47
訳C.M

関連記事