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韓国大統領府、検察総長の懲戒委員会を強行…総長、原発捜査の拘束令状請求を承認

登録:2020-12-03 07:22 修正:2020-12-03 09:14
チュ・ミエ法務部長官の職務排除決定により出勤できなかったユン・ソクヨル検察総長が1日午後、瑞草区の最高検察庁に出勤し、取材陣の質問に答えている。ユン総長はソウル行政裁判所により職務停止命令効力臨時停止の決定が出るとすぐに庁舎に出勤した/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2日、空席になっている法務部次官に、判事出身のイ・ヨング弁護士を内定した。空席を埋める通常の人事ではなく、ユン・ソクヨル検察総長に対する懲戒手続きの進行に重点が置かれたワンポイント人事だ。前任者のコ・ヨンギ次官はユン総長に対する懲戒に反対し、1日に辞任した。

 これに対抗し、ユン総長は、職務復帰のわずか2日目のこの日の午後、大田(テジョン)地検が捜査中の「月城(ウォルソン)原発1号機経済性操作」疑惑事件の被疑者である産業通商資源部の公務員らの事前拘束令状請求を承認した。復帰したとたんに与党側にとって敏感な捜査を指揮したことで、ユン総長と与党側の対立はさらに激しくなるものとみられる。

 大統領府はこの日の午後、イ・ヨング次期法務部次官の内定の事実を発表し、「法律の専門性はもちろん、法務部の業務全般に対する理解度が極めて高く、検察改革など当面の課題を公正かつ中立的に解決し、組織を安定させることに貢献してくれると期待する」と明らかにした。法務部次官に非検察出身者が登用されたのは、1987年の民主化後では初めてだ。イ次期法務部次官の任期は3日に始まる。

文在寅大統領は2日、法務部次官にイ・ヨング弁護士を内定した/聯合ニュース

 イ・ヨング次官の内定により、ユン総長に対する懲戒委員会の審査は予定通り4日に開くことになった。しかし、懲戒委員会が開催されても、当日に結論を下す可能性は低い。裁判所が1日にユン総長が出した職務停止執行停止申立てを受け入れたうえ、同日召集された法務部監察委員会も、監察手続きと懲戒請求に問題があると結論づけただけに、懲戒委員会がどのような決定を下しても、正当性を確保するのが容易ではなくなったためだ。それにともない、法務部は懲戒委員会を開いても速戦即決式には結論を下さず、ユン総長の十分な釈明を聞くなど、手続きの正当性を確保するために懲戒委員会を2~3回追加で開く可能性が高い。

 大統領府高官はこの日、 ハンギョレの電話インタビューで、「文大統領は(懲戒委員会の結論が)どこに向かうかには関心はない」とし、「次官の人事はユン総長の解任を強行するというものではなく、懲戒委員会の召集が予定されているので、その手続きを進めるという意向」だと説明した。それとともに、「釈明が必要であれば十分に聞き、決定を下す時期も十分に遅らせることができる。問題が生じたため、残りの手続きは公正に進めなければならないというのが大統領の意向だ」と付け加えた。次官の任命を「懲戒強行」だと決めつけないでほしいという話だ。

 懲戒委員会を開いても、イ次期次官は懲戒委員長を引き受けないとみられる。懲戒委員の一人として表決にだけ参加させ、会議進行など結論を導き出す過程には介入することができないようにするということだ。大統領府高官は、「次官が委員長を引き受ければ、『判事出身のチュ・ミエ法務部長官の側近が懲戒を主導する』という非難に巻き込まれかねない。懲戒委員長に別の人を選任するようにという指示事項が法務部からすでに下されている」だと伝えた。

 大統領府のこのような立場は、懲戒委員会の結論がどのように出ても、その余波が文大統領に及ぶ状況は避けるという意図だと解釈される。ユン総長の懲戒に否定的な世論が優勢な状況で、解任などの重い懲戒が下された場合、場合によっては、政治的・道徳的な非難がチュ・ミエ長官を越え文大統領に及ぶことがありうるからだ。懲戒請求が否決される場合も同じだ。責任論が広がり、レームダック(任期末期の権力喪失)が加速化される状況を防ごうとするならば、政治的責任はあくまで懲戒を主導したチュ長官が負わなければならない。これは、“チュ・ミエ長官とユン・ソクヨル総長の対立”の局面で大統領府と文大統領が徹底的に沈黙を守ってきたことと同じ脈絡だ。大統領の沈黙は、「懲戒には一切介入しなかったので、結論がどう出ても私の責任ではない」という政治的不在証明の観点で計算された行動だったといえる。

 大統領府関係者は、「大統領府がいつガイドラインのようなものを出したことがあったのか」とし、「簡単に言うと、(どのような結論が出ても)私たちには無関係なこと」だと述べた。共に民主党内の文在寅支持派の中心的な議員も、「チュ・ミエ長官には他の長官にはみられない長所があり、大統領の後ろに隠れず、うまく行っても行かなくても自分が責任を負うという姿勢」だとしながら、「今回も(懲戒要請の否決のような)最悪の結果が出ても、当然チュ長官が甘受するだろう」と述べた。

 イ・ヨング次期法務部次官は、チョ・グク前法務部長官がユン・ソクヨル総長の指揮により検察の捜査を受けて失脚する過程を近くで見守った、チョ前長官の側近に分類される。2017年の文在寅政権の発足後、法務部が「脱検察化」を前面に出し、民間の専門家に門戸を開放した際、重要ポストである法務室長を引き受けた。

 一方、ユン総長側は2日、4日に予定された法務部懲戒委員会の期日を変更するよう要求する申立書を3日に提出する予定だと明らかにした。

イ・ワン、ソ・ヨンジ、キム・ウォンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/972557.html韓国語原文入力:2020-12-03 02:12
訳M.S

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