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海軍性暴力事件の過酷な2年…「軍の最悪の鎖、断ち切ってほしい」

登録:2020-11-20 02:24 修正:2020-11-20 07:02
19日にソウル瑞草区の民主社会のための弁護士会大会議室で開かれた「海軍性暴力事件での有罪判決を求める記者会見」/聯合ニュース

 過酷な2年だった。2018年11月、高等軍事裁判所は、2010年に海軍中尉として勤務していたAさんに性的暴行を加えた2人の上官に対し無罪判決を言い渡した。普通軍事裁判所が懲役10年(B少領)と8年(C大領。少領、大領ともに軍の階級)を言い渡した一審判決を覆すものだった。被害者のAさんは19日、文書で立場を表明し、その中で「艦艇に戻れず2年が過ぎた。告訴すべきではなかったという後悔で自らを責め、本当に多くの日々を浪費した」とし「軍組織の最も弱い鎖であり最悪の鎖であるそれは、権力を不当に行使し、隠ぺいしても大丈夫だろうと呑気に信じている者たちだ。最弱かつ最悪の鎖を断ち切れるよう助けてほしい」と訴えた。

 この日、「海軍上官による性的マイノリティ女性軍人暴行事件共同対策委員会」は、性暴力の加害者に対する上告審を前に、民主社会のための弁護士会の大会議室で記者会見を開き、最高裁判所による正しい判断を求めた。

 同委員会は、軍の特殊な環境を考慮していない二審判決を批判した。「上官への服従の義務」が存在する軍の文化と、全長103メートル、幅12メートルと狭小な船の中で20日以上も上官である加害者と航海する環境を考慮しなかったということだ。韓国女性民友会性暴力相談所で活動するパク・チヨンさんは、「二審は、反抗を不可能にするほどの暴行と脅迫はなかったとして無罪と判断した。上官の命令が不可侵の場所においては、威力そのものが暴行・脅迫と同じだ」と指摘した。

 二審判決は被害者ではなく加害者に「感情移入」しているという主張も出た。韓国女性の電話・女性人権相談所のチョン・ソヨンさんは「二審は『男性である加害者が夜に独身宿舎に呼んだ時、被害者が応じたのなら、訪ねて行く事情があったはず』とし、加害者に感情移入したような文章を示した。なぜ基準もなく被害者は疑い、加害者たちの嘘と変化する陳述は疑わないのか」と述べた。

 同委員会は、現役の女性軍人のためにも最高裁判所の正義にもとづく判断が必要だと述べた。若い女性軍人フォーラムのキム・ウンギョン代表は「現在も女性軍人に対する性暴力とセクハラは減っていないが、半数ほどは通報を避けているという。被害者の二審判決に衝撃を受け、『静かに生きた方がまし』という考えが広がっている」と指摘した。軍人権センターのパン・ヘリン相談支援チーム長は「軍内のすべての性暴力被害者と、すでに軍を離れている被害生存者のためにも、この判決は必ず覆されるべき」と主張した。

チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/970679.html韓国語原文入力:2020-11-19 17:39
訳D.K

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