文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国会で行った施政方針演説で、先月22日、西海(黄海)での漁業指導員殺害などで行き詰った南北関係について、「国民の懸念が高まっている」としながらも、朝鮮半島の平和は「我々に与えられた時代的使命」であることを改めて強調した。
文在寅大統領は28日、国会「2021年度予算案の提出に伴う施政方針演説」で、「この3年半の時間は、朝鮮半島で戦争の脅威を除去し、“平和と繁栄の朝鮮半島”に変えていく挑戦の時間だった。多くの進展があったが、再び対話が中断し、最近西海で韓国国民が死亡したことで、国民の懸念が高まっている」と述べた。さらに「政府は透明に事実を明らかにし、責任を果たす」と述べたが、「一方で、平和体制の切実さを改めて確認するきっかけになった」としたうえで、「平和は南北双方のための“共存の道”」であり、「我々皆に与えられた時代的使命」だと強調した。西海での銃殺事件に関し、大統領府はは先月27日に緊急安保関係長官会議を開き、「南北がそれぞれ把握した事件の経緯と事実関係に違いがあるため、早急な真相究明のための共同調査を要請する」と述べたが、北朝鮮はこれまで特に反応を示していない。
文大統領は今後も「強い国防を基に、朝鮮半島の非核化と恒久平和に向け、引き続き対話を模索していく。南北と国際社会が対話と信頼を通じて障害を乗り越え、朝鮮半島から北東アジアに平和を広げていくことを期待する」と述べた。政府は平和の前提になるという「強い国防」に向けて、来年国防費として今年より5.5%増の52兆9000億ウォン(約4兆8600億円)を申請した。文大統領は、最近数回強調した終戦宣言については特に言及しなかった。