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「家事労働者にも退職金・雇用保険を適用」政府、立法案を議決

登録:2020-07-08 05:56 修正:2020-07-08 09:49
6月16日、家事労働者たちが第9回国際家事労働者の日を迎え、ソウル永登浦区の国会議事堂前で記念記者会見を開き、COVID-19により災害の死角地帯に追い込まれた家事労働者の法的権利と生計保障を求めている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 1953年に労働基準法が制定されてからの67年間、労働関係法の保護を受けることができなかった家事労働者も、退職金や雇用・産業災害保険の適用など労働者としての権益を保障される法案が推進されている。

 政府は7日、閣僚会議でこのような内容を盛り込んだ「家事労働者の雇用改善などに関する法律」(家事労働者法)の制定案を審議・議決し、近日中に国会に送ると明らかにした。法案は、労働契約を締結(直接雇用)する家事サービス提供機関の政府認証制度▽有給週休・年次休暇や退職金などを適用▽休憩時間・安全事項を含む標準利用契約書作成などが主な内容だ。

 統計庁集計によれば、国内の家事労働者の規模は昨年基準で全国に約15万6000人で、566万世帯が家事および育児ヘルパーサービスを利用したことが明らかになった。共働き世帯の増加で「家事サービス・プラットフォーム」(アプリ)が登場するなど、関連市場の規模は1兆ウォン(約890億円)台と推定される。しかし、労働基準法は1953年の制定時から現在まで「家事使用人に対しては適用しない」(第11条)という条項を維持している。そのため大部分のサービス利用者と家事労働者間の契約が口頭で成されているなど、法的な保護を受けにくい「非公式領域」として存在してきた。

 同日、国務会議(日本の閣議に相当)を通過した家事労働者法は、年内に国会を通過する場合、1年間の猶予期間を経て施行されると見込まれる。適用対象は、政府が認証した家事サービス業者に直接雇用された労働者だ。まずは、2年間に1000人規模の家事労働者を直接雇用する条件で政府から規制サンドボックスの実証特例(新製品や新サービスを実用化する際、一定期間、規制を免除または猶予される制度)を得たホームストーリー生活(家事サービスアプリ「代理主婦」の運営企業)に所属する労働者が、この法律の適用を受けることができる。政府は今後、家事労働者を直接雇用した業者の認証を活性化し、法律の施行後5年以内に約4万6000~7万8000人が安定した雇用を持つことになると見ている。

 しかし、既存の職業紹介所などを通じて働く家事労働者にはこの法律は該当しない。家事労働者を直接雇用する業者とは異なり、仕事を仲介するだけの職業紹介所は、労働者とサービス利用者間の雇用契約を「斡旋」するものであり、労働関係法上の責任を問うことができる「事業主」と判断するのは難しいという論理のためだ。労働基準法自体を改正して家事労働者にも適用する方法もあるが、通常4時間単位でサービスを提供する家事労働者に「4時間勤務時に30分の休息を保障」のような条項などを適用するのが難しく、別の法律の制定を推進することになったというのが関連団体の説明だ。

 「労働者」である家事労働者を労働基準法の適用対象から排除し、別の法案を作ることは、今後、他業種のプラットフォーム労働者の労働権保障に悪い先例を残すことになりうるという懸念も出ている。韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン副所長は「労働基準法以外の法律を作って家事労働者の労働を保護する方式は、家事労働者と同様に多くの家を回りながら働く配達ライダーや浄水器設置技師などにも適用できるだけに、労働基準法の例外を許容するのは危険だ」と指摘した。

ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/952684.html韓国語原文入力:2020-07-08 02:12
訳M.S

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