「くねくねと流れても最後には海に向かう川の水のように、南北は楽観的な信念を持って民族の和解と平和統一の道を一歩ずつ進まなければなりません」
北朝鮮の激しい“言葉の爆弾”攻勢の中で迎えた6・15南北共同宣言20周年記念日。 これ以上の事態悪化を防ぎ、北朝鮮を再び対話の場に呼び戻そうとする韓国政府と与党の努力が一日中続いた。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日午前の大統領府首席・補佐官会議と午後に烏頭山統一展望台で開かれた南北共同宣言20周年記念式に送った映像メッセージで強調したのは、「平和と統一」を目指さざるを得ない南北の宿命だった。文大統領は韓国側に深い失望感を示したキム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会第1副部長の談話内容を意識してか、「期待したほど朝米関係と南北関係の進展がなかったことについて、私も残念に思う」とし、「4・27板門店宣言と9・19平壌共同宣言の履行に向けて絶えず努力していく。対話の窓を閉じないよう要請する」と述べた。また、「朝鮮半島はまだ南北の意志だけで突っ走れる状況ではない」と言及し、「南北が自主的にできる事業も確かにある」と強調した。
韓国政府の対北朝鮮政策を率いてきたムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官やチョン・セヒョン民主平和統一諮問会議首席副議長(元統一部長官)、イ・ジョンソク世宗研究所首席研究委員(元統一部長官)も、「最悪の事態を防ぐためには、政府の早急な対応が必要だ」と口をそろえた。彼らは最近、危機の直接的な原因が北朝鮮へのビラ散布という点を挙げ、「対北朝鮮ビラ散布禁止法」の制定にできるだけ早く着手すべきだと強調した。南北首脳の会合を推進する必要があるという意見も出た。さらに共に民主党のキム・テニョン院内代表は、文大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が署名した「4・27板門店宣言」の国会批准を推進する方針を示した。
政府・与党が事態の収拾に奔走している背景には、キム・ヨジョン第1副部長の公言通り、北朝鮮が武力挑発を強行した場合、2018年以降南北が苦労しながら積み上げてきたすべての成果が水の泡となりかねないという懸念がある。状況が流血衝突に広がれば、南北関係は2017年以前の対立に回帰する恐れもある。韓国軍は「北朝鮮軍の動向を注視しているが、特異な動向は見つからなかった」と説明した。
20周年を迎える6・15宣言の核心は「共存の約束」だった。キム・ヨンチョル統一部長官は京義線都羅山(トラサン)駅で行われた「ヌッポム(晩春)・文益煥(ムン・イクファン)詩碑除幕式」に出席し、「強い風雨の中でも黙々と進むべき道を進む」とし、「6・15精神は事大ではなく自主、対決ではなく平和、分断ではなく統一」だと述べた。
北朝鮮当局は、宣言20周年を記念する公式行事を開くこともなく、論評も発表しなかった。ボールを南側に渡して「次の段階の行動」を準備し、それに伴う利害得失を計算しているものと見られる。