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モデルナ、新型コロナワクチンの1次臨床試験で「全員に抗体、8人はウイルス無力化」

登録:2020-05-20 06:58 修正:2020-12-24 07:52
今月18日(現地時間)、臨床試験で「新型コロナウイルス感染症の抗体が形成された」と発表した米バイオ製薬会社モデルナのマサチューセッツ州ケンブリッジ本社ビルの様子=ケンブリッジ/ロイター・聯合ニュース

 米国のバイオ製薬会社「モデルナ」(Moderna)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンの臨床試験の初期段階で、肯定的な結果が出たと発表した。COVID-19の対応に画期的な転換点が早められるかどうかに関心が集まっている。

 モデルナは18日(現地時間)、「mRNA-1273」と名付けられたCOVID-19ワクチン候補物質を18~55歳の参加者45人に投与した結果、全員からCOVID-19抗体が形成されたと発表した。今回の試験は普通4段階で行われる臨床試験の第1段階だ。モデルナは参加者たちを25マイクログラム、100マイクログラム、250マイクログラムのグループに分けて、4週間隔を置いて2回投与したが、投与量によってはCOVID-19に感染してから回復した人と同じかそれ以上のレベルの抗体が形成された。モデルナは、参加者のうち8人からはウイルスを無力化する中和抗体も作られたと発表した。

 モデルナの最高経営者(CEO)ステファン・バンセル氏は「mRNA-1273がCOVID-19から(我々を)守ってくれる可能性が非常に高い」とし、開発に拍車をかける方針を明らかにした。

 モデルナは、600人が参加する第2段階臨床試験を近く実施できるよう、食品医薬局(FDA)の許可を受けており、数千人が参加する第3段階臨床試験も7月から始める計画だ。開発が完了した時に備え、大量生産設備も増やしている。

 モデルナのタル・ザックス最高医療責任者(CMO)は、「開発がうまく行けば、年末や年明けにはワクチンを供給できるだろう」と述べた。米メディアは、早ければ今年の秋にも応急用のワクチンが作られるかもしれないと報じた。

 マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くモデルナは、DNAの遺伝情報を細胞質の中のリボソームに伝達するRNA(mRNA)を活用し、感染病や希少病などに関するワクチンを開発する会社だ。アンソニー・ファウチ博士率いる米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所と共に、COVID-19のワクチン開発に取り組んでいる。

 COVID-19を抑えられるかもしれないという朗報に、モデルナの株式は同日20%上昇し、ダウ指数も3.85%上昇するなど、ニューヨーク証券市場が活気を取り戻した。ワクチン開発のスピード戦を強調してきたドナルド・トランプ米大統領は「今日はものすごい日」だと喜んだ。

 しかし、過度な楽観論を警戒する声もあがっている。ジョンズ・ホプキンス大学ワクチン安全研究所のダニエル・サーモン所長はワシントンポストに「(モデルナの発表は)朗報であり、今後進展させる価値がある」としながらも、「歴史的に見れば、数多くのワクチンが第1段階では良さそうに見えても、良い製品にはならなかった」と指摘した。アレルギー感染症研究所ワクチン研究センターのバニー・グラハム博士も、ウォールストリートジャーナルに「これは臨床作業の始まりにすぎない」と述べた。今後、多くの治験を行わない限り、ワクチンの安全性と効率性を判断できないということだ。

 モデルナの臨床試験結果について韓国防疫当局は「COVID-19対応の青信号だと思う」と評価した。クォン・ジュヌク中央防疫対策本部副本部長は19日(韓国時間)午後、定例ブリーフィングで「モデルナが来年上半期の大量生産を目指すというが、日程が繰り上げられる可能性もある」とし、「モデルナのような核酸ワクチン研究を国内でも少なくとも2つの企業や研究機関が中心になって進めている。国内外で治療薬・ワクチン開発の成果が現れている」と述べた。

 現在、世界的に数十社の製薬会社と大学が年内の完成を目標にCOVID-19ワクチンを開発している。このうち、米国のモデルナやファイザー、ドイツのビオンテック、中国のカンシノ、英国のオックスフォード大学など、少なくとも8カ所で人間を対象にした臨床試験が行われている。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/945549.html韓国語原文入力:2020-05-20 0213
訳H.J

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