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漂流する防衛費交渉…トランプ大統領、13%引き上げの韓国提案を直接拒否

登録:2020-04-22 06:29 修正:2020-04-22 08:50
ドナルド・トランプ米大統領=資料写真//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が第11次韓米防衛費分担特別協定(SMA)と関連し、韓国が提示した金額を直接拒否したとし、韓国がより多く負担しなければならないと圧力をかけた。韓米間の交渉は具体的な次期日程も決まっておらず、最終妥結までは時間がかかるものと見られる。

 トランプ大統領は20日(現地時間)午後、ホワイトハウスで開かれた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の記者会見で、韓米防衛費分担金交渉に関する質問に対し、「彼ら(韓国)が我々に特定の金額を提案したが、私が断った」とし、「なぜなら我々は(韓国に)莫大なサービスを提供しているからだ」と答えた。交渉の実務ラインで暫定合意に至った防衛費分担金交渉が、トランプ大統領の拒否により土壇場で妥結が見送られた事実を公の場で認めたわけだ。これに先立ち、ロイター通信は、韓国が防衛費分担金を対前年比で少なくとも13%引き上げる案を提示したが、トランプ大統領が拒否したと報じた。

 トランプ大統領は韓国について「テレビや船舶などあらゆるモノを作る非常に裕福な国」だとし、「我々が彼らに提供するものに対し、より大きいパーセンテージの費用を出すことを要求している」と述べた。また、韓国が現在、在韓米軍の駐屯費用として1年に約10億ドルを負担しているとし、「私は昨年『これは(米国が提供するものの)一部(に対する費用)なので、(来年)もう一度話し合おう』と言った」と付け加えた。韓国は昨年、防衛費分担金として1兆389億ウォン(約900億円)を出した。

 しかし、彼は「米国が防衛費分担金交渉と関連して在韓米軍削減シナリオを検討中」という一部マスコミの報道に対しては、「これは削減に関する問題ではない」と否定し、「彼らが自国の防衛に(どれだけ)寄与するかの問題」だと述べた。

 トランプ大統領がこのように防衛費分担金交渉に強硬な立場を示したことで、近く交渉が妥結するのは難しいものと見られる。韓国政府当局者は「これまで韓米防衛費分担金交渉は概ね代表レベルで事実上決められてきた。今回のように米大統領が大きな関心を傾け、直接口出しするのは前例のないことだ」と述べた。

 実際、韓米交渉代表団は先月中旬、第7回会議が物別れに終わってから、追加交渉の日程も決められずにいる。外交部高官は「もう一度交渉してみようという段階までは至らなかった」とし、「引き続き疎通を維持する過程で適切な機会をつかまなければならないだろう」と述べた。また別の当局者は「互いの立場はよく分かっているだけに、隔たりをさらに埋めていかなければならない段階」だと強調した。両国は電子メールや電話などで最小限の意思疎通を行っている。このような状況のため、一部では現在の膠着局面が夏を通り越し、米国の11月の大統領選挙まで続く恐れもあるという声もあがっている。

 合意が見送られていることで、在韓米軍内の韓国人労働者約4000人は、今月1日から無給休職に入り、政府は予算で彼らを支援する内容の特別法制定を進めている。ソン・ジオ在韓米軍韓国人労組事務局長は「妥結が遅れているのは残念だ」とし、「在韓米軍基地で働く韓国人労働者の無給休職問題も解決し、韓国政府の交渉力も強化させるためには、特別法の制定が必ず行われるべきだ」と訴えた。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/941447.html韓国語原文入力:2020-04-22 02:31
訳H.J

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