新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による雇用ショックの実状が統計ではっきり確認されたことで、政府の動きが慌ただしくなった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日の4・19革命記念式典で「通貨危機以来最悪の経済危機克服のための最重要課題は、雇用を守り抜くこと」だとし、「雇用維持のために企業と労働者を手助けし、小商工業者や自営業者の暮らしを保護しなければならない」と強調した。政府は21日、大統領主宰の第5回非常経済会議で、雇用総合対策をまとめる予定だ。
仕事を失った時の一次的なセーフティーネットは雇用保険による失業給付だが、雇用保険加入率は49.4%(2019年8月)にとどまる。半数以上がセーフティーネットの外にある。コロナ禍による雇用ショックを集中的に受けている階層だという意味で深刻だ。統計庁の「3月雇用動向」によると、雇用保険の死角地帯に置かれている臨時雇いや日雇いの労働者、自営業者などの脆弱階層で就業者数が大幅に減少した。
根本的には雇用保険加入の対象を拡大すべきだろうが、今すぐに足元の火を消すための緊急処方も急がれる。宅配労働者、バイク便労働者、学習誌教師などの「特殊雇用労働者」だけでも220万~230万人いると推定される。彼らに対する適切な支援は、経済全般のショックを和らげるためにも必要だ。
雇用のセーフティーネットの拡充に向けた努力がこれまでなかったわけではない。雇用労働部が特殊雇用労働者や芸術家なども雇用保険に加入できるようにする施策を推進し、法案まで発議されているが、野党の反対により国会で係留中だ。もう一つのセーフティーネットである「韓国型失業扶助(国民就業支援制度)」の導入・実行のための法案も同様だ。脆弱階層の失業大乱を防ぐために必要な装置であるだけに、国会の協力が切実に求められる。
だが、雇用ショックを和らげるための新たな法や制度が出来上がるのを、ただ待っているわけにはいかない。状況が切迫しているからだ。従来の雇用のセーフティーネットから排除されている脆弱階層のための緊急失業手当を策定し、期限付きで支給する方策をまとめるべきだ。今後、雇用保険に加入するよう条件をつけて実施すれば、セーフティーネットを拡充する効果を同時に上げることができるだろう。コロナ禍が沈静化した後も脆弱階層の困難は続く可能性が高いことから、絶対に必要な措置だと考える。
企画財政部のキム・ヨンボム第1次官が18日にフェイスブックに書き込んだように、「職を失った人に最小限の社会セーフティネットを提供することは国家の基本責務であるとともに、大規模な消費ショックを和らげる道」でもある。