本文に移動

[社説]新型コロナ発の経済危機への対応、今は“実弾”を惜しむ時ではない

登録:2020-03-17 06:47 修正:2020-03-17 07:59
イ・ジュヨル韓国銀行総裁が16日、ソウル中区の韓銀で開かれた金融通貨委員会で議事棒をたたいている=写真韓銀提供//ハンギョレ新聞社

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が16日早朝(韓国時刻)、基準金利を「ゼロ金利」水準に引き下げたのに続き、韓国銀行(韓銀)がこの日の午後、臨時金融通貨委員会を開いて基準金利を1.25%から0.75%へと0.5%ポイント引き下げた。国内の基準金利が0%台になったのは史上初めてだ。住宅価格と家計負債の問題を憂慮して金利引き下げに消極的だった韓銀が、臨時金融通貨委員会を予想より早く開いて金利を下げたのは、今は金融市場の安定と経済主体の不安心理の沈静が何より優先だという判断によるものだ。韓銀がこれまで臨時金融通貨委員会を開いて金利を下げたのは、「9・11テロ」の時である2001年9月と世界金融危機の時である2008年10月の2回だけだった。また、韓銀は金融仲介支援貸出金利を0.50~0.75%から0.25%に引き下げ、公開市場運営対象証券に銀行債まで含めるなど、流動性の拡大案も出した。イ・ジュヨル韓銀総裁は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が落ち着いておらず、今年の国内経済成長率は既存の見通し(2.1%)に達することはできないだろう」と見通した。

 米FRBは基準金利を1.00~1.25%から0.00~0.25%へと1%ポイント引き下げた。これに先立ちFRBは3日にも基準金利を0.5%ポイント下げた。2週間の間に1.5%ポイントも下げたのだ。電撃的かつ破格的な決定だ。FRBはまた、国債5000億ドル、住宅抵当証券(MBS)2000億ドルを買い取る7000億ドル規模の量的緩和措置も断行した。ゼロ金利と量的緩和は2008年の世界金融危機当時にFRBが出した二大カードだった。それほどCOVID-19の世界的大流行による経済ショックを深刻に見ているのだ。FRBは声明で「COVID-19が米国など多くの国の経済活動に被害を与えた」とし、「グローバル金融環境が深刻に影響を受けた」と明らかにした。

 カナダ、英国、オーストラリアの中央銀行が米FRBの3日の金利引き下げに続いて金利を下げ、日本もすぐに金利引き下げの隊列に参加するものと見られる。

 韓国政府もCOVID-19事態が実体経済と金融部門に同時に衝撃を与える複合危機として展開される可能性を憂慮している。16日、キム・ヨンボン企画財政部第1次官はマクロ経済金融会議で「COVID-19事態が相当期間持続して実体経済と金融部門に複合的な衝撃を与える可能性を排除できない」と明らかにした。また、COVID-19事態が落ち着いても「いわゆる“V字回復”は容易ではないと予想され、“U字”、さらには“L字”経路すら懸念される」と語った。長期戦に備えなければならないという話だ。これに先立ち文在寅(ムン・ジェイン)大統領は13日、今の状況を「非常経済時局」と規定し、前例のない対策を作るよう指示した。

 ひとまず追加補正予算案から、2月の臨時国会の最終日である今月17日に必ず処理しなければならない。しかし与野党は16日までに補正予算の規模に合意することができなかった。未来統合党は4・15総選挙を意識して「税金散布」「ポピュリズム」と非難している。民生が危機に瀕しているというのに、選挙での有利不利を計算して政争の種にするのは責任ある公党の姿勢ではない。

 今は事実上、戦時と違わない。実弾を惜しむ時ではない。財政・金融・為替の分野で一時的な健全性の悪化を甘受しても総力対応しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/932821.html韓国語原文入力:2020-03-17 02:39
訳M.S

関連記事