新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡散し、東京五輪(7月24~8月9日)の開催がさらに不確実になっている。
東京五輪を照らす聖火が、古代五輪発祥の地ギリシャのアテネのオリンピアで12日に採火されたが、聖火リレーは一日で中断された。多くの人波が押し寄せたことで、オリンピック委員会が残りの日程を取り消した。
聖火は1896年に近代五輪が開かれたアテネのパナシナイコ競技場の聖火台から火を渡していき、19日に予定通り東京オリンピック組織委員会に引き渡される。日本国内の聖火リレーは26日に始まる。
各種目の東京五輪予選試合が取り消しまたは延期され、五輪出場選手の選抜も難しくなっている。国際ハンドボール連盟(IHF)は3月と4月に予定されている東京五輪最終予選大会を6月に見送ることにした。野球はアメリカ大陸最終予選を延期し、台湾で開催する予定だった東京五輪世界最終予選も6月17~21日に変更した。体操は今月開かれる予定だったバクーW杯とドーハW杯が相次いで中止となり、五輪ランキングポイントの獲得に支障が生じた。
日本政府と東京オリンピック組織委員会、開催地域である東京都などは、五輪開催を繰り返し強調しているが、日本国内ですら無観客競技または延期の声が徐々に大きくなっている。
五輪関連のニュースを伝えるオンラインメディア「インサイド・ザ・ゲームズ」は14日、共同通信の記事を引用して、日本の専門家らが「観客のない五輪の可能性」を予想していると伝えた。早稲田大学スポーツ科学部の原田宗彦教授は「東京五輪に3兆円を投資した状況なので、中止よりは無観客競技を考慮するだろう」と予想した。原田教授はCOVID-19の拡散を防ぐために身体接触の多い柔道やレスリングを五輪種目から外すならば東京五輪の規模が縮小する可能性もあると見通した。
感染病専門家の山野美容芸術短期大学客員教授の中原英臣氏は、5月末までにCOVID-19事態が収まるのは難しいと見通した。中原教授は「日本でCOVID-19事態が解決されても十分ではない。COVID-19事態が世界的に5月末か6月までには完全に沈静化されなければならない」と強調した。
在日コリアンである野球評論家の張本勲氏(80)は東京五輪を1年延期することを提案した。スポーツ報知などのメディアによると、張本氏は15日、「危険なことはやめた方がいい。1年延ばしてもいい」と明らかにした。「(今年開催すれば)外国から観客が来ない」とし「選手たちも参加するかはわからない」と話した。また「五輪出場のために日本に来て感染したら大変な賠償金を払わなければならないなど問題が多い」と明らかにした。ドナルド・トランプ米大統領も13日、「空っぽの競技場で五輪を行うよりは1年後に開くのが良い代案になる」と明らかにした。
五輪を延期する問題も容易ではない。2021年には世界水泳選手権大会(7月16日~8月1日・福岡)、世界陸上競技選手権大会(8月6日~15日・米国オレゴン)などがある。
東京五輪の開催をめぐり利害が衝突することで、五輪を主管する国際オリンピック委員会(IOC)の決定が重要になってきた。トーマス・バッハIOC委員長は最近、ドイツ第1公営放送(ARD)のインタビューで「IOCは世界保健機関(WHO)が2020年東京五輪の競技を中止すべきだと言えばその勧告に従う」と明らかにした。