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「獄中政治」に打って出た朴槿恵…総選挙前「巨大野党に太極旗の力を」

登録:2020-03-05 01:18 修正:2020-03-05 08:09
朴槿恵前大統領の弁護人ユ・ヨンハ弁護士が4日、国会政論館前で朴前大統領の自筆の手紙を公開している//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領が4日、保守野党と支持者らに向け「獄中メッセージ」を発した。総選挙勝利のために「巨大野党を中心に太極旗を掲げた人たちも力を合わせてほしい」という内容だ。保守野党は一斉に歓迎し、共に民主党は「獄中扇動政治」と批判した。ただ、与野党の本音は複雑に見える。与野党いずれも、総選挙を40日後に控えた敏感な時期に発せられた朴前大統領のメッセージに世論がどう反応するか、神経を尖らせている。

 ソウル拘置所に収監中の朴前大統領は、ユ・ヨンハ弁護士が公開した自筆の文章で、「互いに違いがあるだろうし、埋めがたい隔たりがあるかもしれないが、よりよい大韓民国のために、既存の巨大野党を中心に太極旗を掲げたすべての皆さんが一つになって力を合わせることを訴える」と述べた。支持者に対し、未来統合党を選択するよう露骨に要請したのだ。朴前大統領は続いて「多くの人々が、無能で偽善的で独善的な現政権勢力によって生活がますます厳しくなったと、希望が見えないと訴えた」と政府を批判した後「政治的有利不利によって離合集散をするような巨大野党の姿に失望もしたが、保守の外延を拡大するための避けられない選択と受け止めた。私も一つになった皆さんと共にありたい」と述べた。

 朴前大統領が収監後に公式に立場を発表したのは初めて。総選挙を約1カ月後に控えた時点で「獄中政治」に打って出たのは、支持層を糾合するとともに、自身の政治的影響力を拡大するためとみられる。しかし朴前大統領の「メッセージ政治」が望みどおりの成果を出せるかは未知数だ。保守野党の統合を促進する可能性もあるが、むしろ「国政壟断」と「弾劾」の記憶を呼び覚まし、ろうそく勢力の再結集を招きうるという観測も出ている。未来統合党を再び「朴槿恵影響圏」に縛りつけてしまう結果を生みうるからだ。

 政界の反応も交錯している。朴前大統領が支持を宣言した未来統合党は「切々たる書信」(ファン・ギョアン代表)、「義による決定」(キム・ヒョンオ公認管理委員長)と朴前大統領を持ち上げたが、依然として親朴系・太極旗勢力が公認を前に入党することについてはためらう空気が流れている。一方、統合の対象となった「太極旗勢力」は、選挙連帯を要求し、まず統合党が進めている公認候補選びを直ちに中止せよとの主張を強めている。中道保守を大挙迎え入れて「弾劾の川」を渡ろうとしていた統合党が、朴前大統領のメッセージにむしろ足を引っ張られる可能性もあるということだ。保守統合に関与したある関係者も「メッセージの内容と視点が良くない。反省や省察はなく、目前に迫った選挙に対する露骨な動員メッセージだけがある。現政権に失望して保守政党の可能性に目を向けようとしていた中道層がびっくりしたかもしれない」とし「未来統合党は結局またセヌリ党に戻ったという印象を与える可能性もある」と憂慮した。

 これを意識したように、民主党と他の野党も朴前大統領に猛攻を浴びせた。民主党選挙対策委員会のチェ・ユンギョン報道担当は「まるで無実の罪を着せられた政治家であるかのように獄中扇動政治を行うのは、国民の弾劾決定を否定するもの」とし「朴前大統領がすべきは自重と罪の償い」と批判した。正義党のオ・ヒョンジュ報道担当も「静かに自分の罪を懺悔することだけが、厳しく困難な時期に、朴前大統領に許された唯一の愛国心」と批判した。

チョン・ユギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/931174.html韓国語原文入力:2020-03-04 21:00
訳D.K

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