「まったく、コロナのせいでミサも中止か…」。
23日午前、大邱中区(テグ・チュング)の桂山(ケサン)大聖堂の日曜ミサに参加するためにやって来たある中年男性は、こう言って帰って行った。固く閉ざされた聖堂の入り口には「立ち入り禁止」と書かれた案内文が貼り出されていた。本来ならすでに日曜ミサが行われている時間だが、聖堂の周辺には静寂だけが流れていた。カトリック大邱大教区(教区長:チョ・ファンギル大主教)は今月19日、教区内のすべての教会に「とりあえず来月5日まで、ミサは行わないこと」とする緊急指針を下した。大邱のすべてのカトリック教会でミサが開かれないのは、1911年にカトリック大邱大教区が設置されて以来、109年の歴史の中で初のことだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が次々に飛び火している大邱市は週末を迎えたが、教会の礼拝やさまざまな会合が全てキャンセルされ、人影さえ消え去った。町全体が止まってしまったかのように、奇妙な寂寥感さえ抱かせる。
新天地信者に対する警戒心も随所で目についた。「当教会は新天地関係者および新天地追従者(異端)の出入りを禁じます」。桂山大聖堂の向かいの大邱第一教会も固く閉ざされた入り口にこのような案内文が貼ってあった。「主はあなたをかりゅうどのわなと、恐ろしい疫病から助け出されるからである」。聖書の詩編の一節を引用した横断幕が大邱第一教会の信者の名で掲げられていた。
週末には人々で賑わっていた結婚式場も閑散としていた。COVID-19感染者が訪れたため一時閉鎖され、20日に通常営業を再開していた大邱東区(トング)のクイーンベルホテルも、式の参列者が大幅に減った。知人の結婚式に出席したAさん(26)は「祝儀を渡しておいてくれという要請が多くて仕方なく式場まで行ったが、参列者は本当に少なかった」と語った。
大邱市内の結婚式場には先週から結婚式の延期やキャンセルに関する問い合わせが相次いでいる。Bさん(30)は「交際相手と来月に大邱で結婚式をしようと思って式場を予約してあったのだが、COVID-19が広がっているので、ひとまず6月に結婚式を延期した。大邱で5月に結婚しようと思っていた友人も今、結婚式をどうすべきか検討している」と話した。
一日当たりの流動人口が平均数十万人にのぼる大邱中区東城路(トンソンノ)も、COVID-19の直撃を受けた。23日午後、東城路一帯の店舗は大半で「臨時休業」の案内文が貼られ、閉まっていた。週末になると人でごった返していた通りには一人か二人が見えるだけ。現代百貨店大邱店裏の中区鍾路(チュング・チョンノ)と南城路(ナムソンノ)一帯は、閉店中の店より開いている店を探す方が難しかった。4千店舗以上があり、全国3大伝統市場の一つに数えられる大邱中区の西門市場(ソムンシジャン)も23日、ほぼ全ての店が閉まっていた。
鐘路一帯で最も大きな酒場を営むキム・シヨンさん(52)は「COVID-19で客が少しずつ減っていたが、大邱で感染者が出てからは鍾路一帯が幽霊都市のように変わってしまい、完全に客がいなくなった。先週木曜日から店を閉めて今日で4日目だ。明日店を再開すべきか悩んでいる。いつまでこのような状況が続くか分からないので不安だ」と述べた。
COVID-19感染者が訪れていたため臨時休業していた現代百貨店大邱店と東亜百貨店ショッピング店も23日から営業を再開したが、客足は途絶えた。同日の昼時、現代百貨店地下1階の食品館の中央には90人あまりが座って食事できる椅子があったが、客はたった2人だけだった。東亜デパート地下1階の食品館も、150あまりの椅子を埋めている客は10人ほどにすぎなかった。大邱達西区(タルソグ)にある遊園地「イーワールド」も21日から28日まで休業に入った。大邱市立中央図書館など、大邱の9つの市立図書館も、20日からすべて休館し、数日間人影がない。東大邱駅や大邱駅、大邱国際空港など、大邱の主要な玄関口も人足が途絶えた。
大邱達西区の頭流(トゥリュ)公園の近くで出会ったキム・オクチャさん(81)は「昨日一日中家にいて、息が詰まるので今日は運動しに出てきた。以前は公園で同年代の住民に会えば、隣に座って話をしたり遊んだりしたが、今は伝染が心配でお互いに避けている。さっき前で運動していた男性が咳をして唾を吐いたのでとても驚き、不安だった」と打ち明けた。キムさんはマスクの中にハンカチを重ね、帽子などで重武装していた。