米国が星州(ソンジュ)に配備されたTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)の性能改良事業に大規模な予算を配分するという計画を14日(現地時間)、ミサイル防衛局の2021会計年度予算案を通じて明らかにした。米国はこのような計画を韓国政府にもすでに説明済みという。この計画によると、星州にTHAAD発射台を追加配備するか、首都圏に前進配備する可能性がある。THAADとパトリオットミサイルのシステムをまとめて統合システムを構築する動きも垣間見える。国防部は、THAAD発射台の追加配備や前進配備について米国とは論議していないと明らかにしたが、THAAD配備で韓中対立を深めた韓国としては、米国のこのような動きは憂慮せざるを得ない。
米国防総省が明らかにした計画を見ると、星州のTHAADの砲台自体を増やす計画まではないように見える。しかし、THAAD発射台を追加したり、現在の位置から脱して首都圏に前進配備するだけでも、周辺国の反発が起こり得る。さらに、THAADのアップグレードを通じてTHAADとパトリオットのシステムを連動させた場合、星州のTHAADレーダーが朝鮮半島を離れ、米国のミサイル防衛(MD)網に組み込まれる可能性が高くなる。そうなれば、朝鮮半島の安保地形が大きな影響を受けざるを得ず、中国、ロシア、北朝鮮の反発が大きくなることは火を見るよりも明らかだ。
政府はTHAAD配備によって韓中関係が悪化すると、2017年に「米国のミサイル防衛システムへの参加、THAADの追加配備、韓米日軍事同盟はしない」との「三不原則」を明らかにし、韓中関係を辛うじて収拾した。しかし、米国の構想通りTHAADとパトリオットのシステムが統合され、ミサイル防衛網につなげられれば、韓国の三不原則は大きく傷つかざるをえない。2016年にTHAAD配備を電撃的に決定した後、中国国内の韓流遮断、団体観光の中止、輸出の急減により韓国経済は莫大な損失を被り、後遺症は今も続いている。政府は米国のTHAADのアップグレード計画が三不原則を傷つけないようにくさびを打ち込むべきである。
これとともに、米国は来年の国防予算から星州のTHAAD用地の整備工事費として580億ウォンを割り当て、その資金を韓国の防衛費分担金でまかなう案を検討中であることが確認された。国防部はこれまで、THAAD配備費用は米国が負担し、韓国は敷地と基盤施設を提供すると説明してきた。政府は、米国がこの問題を防衛費分担金交渉で韓国に圧力をかけるカードとして使わないよう、確固たる原則を確立して対応すべきである。