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[コラム]信じられない中距離ミサイル配備構想

登録:2020-01-02 05:36 修正:2020-01-02 08:14

 信じられない話が最近、あちこちで聞こえる。内容はかなり具体的だ。米国が推進すると明らかにした中距離ミサイルのアジア配備を韓国に引き込んではどうかという話を政府高官が“流して”いるとのことだ。

 本当に誤って伝えられた“うわさ”だと信じたい。政府当局者がいくら非公式の席でもそのような無責任な話をしたとは想像し難いからだ。しかし、似たような雰囲気の記事が最近出てきたのを見ると、また専門家の間でも回っているのを見ると、さほど極端な話ではないかも知れないという憂慮を覚える。

 無駄な杞憂であることを願う。しかし老婆心から、言うまでもなく米国の中距離ミサイルの韓国配備が招く“厳重な”状況についてもう一度指摘しておかねばならないようだ。

 米国は1987年に当時のソ連と結んだ中距離核戦力(INF)条約の脱退を、去年8月2日(現地時間)に公式発表した。中距離核戦力条約は射程距離500~5500キロメートルの地上発射の核および通常弾道ミサイル、巡航ミサイルの配備を禁止する条約だが、米国はこれを一方的に破棄した。米国が条約に縛られている間に中国が中距離ミサイルなどを開発して配備してきたと言い、条約破棄が中国を狙ったものであることを隠さなかった。

 翌日3日、マーク・エスパー米国防長官はオーストラリアに行く専用機の中で、地上発射型の中距離ミサイルのアジア配備が望ましいと明らかにして議論が広がった。外信では韓国、日本、グアムなどが候補地として取りざたされた。また、翌日には中距離ミサイルのアジア配備に関して「該当地域の同盟およびパートナーと協議を経て配備するだろう」と語った。

 韓国政府の立場は今まで断固としている。米国の中距離ミサイル配備を検討したり米国と協議したことはなく、そのような計画もないとのことだ。政府のこのような公式の立場が変わったという話を聞いたことはない。米国が韓国政府に積極的に配備の協議を要請したという状況証拠もない。にも関わらず、政府高官が政府の立場に真っ向から反する発言をして回るのが事実なら、簡単な問題ではない。

 中距離ミサイルは明白な攻撃用だ。THAAD(高高度ミサイル防御体系)はまだ探知用であり防御用で、相手が先にミサイルを発射した場合、これに対応して迎撃するためのものだ。したがって攻撃用の中距離ミサイルが韓国に配備されたならば、THAAD問題の時とは次元が異なる悪影響が韓中関係に訪れるだろう。

 THAADはそれでも北の核ミサイルを防御するという表面的な理由もあった。中距離ミサイル配備はそのような表面的な理由もつけることは難しく、中国を狙った宣戦布告に他ならない。ロシアも敏感な反応を見せている。韓国が先頭に立って中国とロシアに対抗する米国の盾になるということなのだから、中距離ミサイルを「テコとして使おう」などという発想をすることはできない。政府高官がそのような構想をほのめかしているという伝聞を否定したい理由だ。

 ないと信じたい。文在寅(ムン・ジェイン)大統領を至近距離で補佐しなければならない政府高官がそのような「不忠」をするはずがないからだ。文大統領は就任以後、朴槿恵(パク・クネ)政権時の「THADDショック」を解消するために絶えず努めてきた。先月の韓中日首脳会議を契機に北京で中国の習近平主席や李克強首相と会談し、THAAD問題で壊れた韓中関係をほぼ正常軌道に乗せたという評価を受けている。このような状況でまた韓中間と国内の対立を増幅させる中距離ミサイル配備構想に言及するのは、うわさだけだとしても文大統領がようやく改善してきた対中関係に灰をまくことだ。

 中距離ミサイル配備は実際、中国とロシアを敵に回してすべての外交資産を米国にかけるのと同じだ。これは周辺国の動きとも合わない。日本の安倍晋三政権は国内の強い反中国の雰囲気にも関わらず、今年4月頃の中国の習近平国家主席の訪日を成立させるなど、中国と積極的に関係改善を図っている。米国のドナルド・トランプ政権に対する信頼が落ちたからだ。このような状況を逆行するのは状況を誤って読んでいるといえる。うわさは事実ではないことだと信じたい。

//ハンギョレ新聞社

イ・ヨンイン国際ニュースチーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/922844.html韓国語原文入力:2020-01-02 02:34
訳M.S

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