自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表が、来年4月の総選挙前に朝米首脳会談を開かないよう米国に要請していたことが発覚し、批判が高まっている。野党第一党の院内代表が国益はもちろん、朝鮮半島の未来に関する重大な外交・安保事案を選挙に有利か不利かで裁断し、妨げたのは大変不適切である。
ナ院内代表は27日、「7月のジョン・ボルトン前国家安保担当大統領補佐官の訪韓の際に、総選挙直前に朝米首脳会談が開かれることに対する憂慮を伝えたのは間違いない」と明らかにした。先の3党の院内代表の米国訪問の際、ナ院内代表が米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表に朝米首脳会談を開かぬよう要請したという疑惑が起こると、これを否定しつつ、上のように釈明したのだ。7月に、それも朝米首脳会談「自制」ではなく「憂慮」を表明したのだから問題にならないとナ院内代表は言うが、開いた口がふさがらない。
朝米首脳会談は、北朝鮮の核問題の解決と南北関係に重大な影響を及ぼす。朝鮮半島から戦争の危険を取り除き、平和を定着させる機会であるだけでなく、開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光など南北関係の改善にも突破口となりうる非常に重要な事案だ。責任ある政治家なら、党派的利害や与党か野党か以上に、国益を優先するのが当然だ。にもかかわらずナ院内代表は28日「文在寅(ムン・ジェイン)政権に騙されてとんでもない時期に首脳会談を開いてはならないと米国当局者に真実を言ってやったもの」とし、「私が間違ったことを言ったか」とむしろ豪語したという。軽率で無責任な言動を反省しても足りないのに、自己合理化に汲々とする態度は失望きわまりない。
ナ院内代表の発言は、選挙勝利のために北朝鮮を巻き込んだ「銃風」「北風」などの過去の保守政権の悪行を想起させる。「平和の妨害者」を自任するナ院内代表に、いったいどこの国の国会議員なのか問いただしたい。米国にこのような要請をすること自体が事大主義の表現ではないのか。ナ院内代表は恥を知り、国民に即刻謝罪することを望む。