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「強制動員被害者問題」は未解決のまま

登録:2019-11-23 06:29 修正:2019-11-23 07:34
今月22日午後、カン・ギョンファ外交部長官が日本の名古屋で開かれる主要20カ国(G20)外相会議に出席するため、日本に出国する前に、仁川空港で取材陣の質問に答えている//ハンギョレ新聞社

 韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了が条件付きで延期され、韓日が輸出規制に関する協議を始めることにしたが、両国対立の核心争点である強制動員被害者問題はそのまま残った。

 政府が22日に発表した「GSOMIA条件付き終了延期」発表文には、強制動員と関連した内容が全く含まれていない。これに対して外交部当局者は「日本は、強制動員問題が解決されない限り、輸出規制問題を解決しないという態度を維持してきたが、今回、二つの関連性が崩れた」と話した。しかし、同高官は「もちろん強制動員問題が解決されたという意味ではない。韓日当局者が今後会う過程で、強制動員の議題は自然に取り上げられるだろう」と付け加えた。今回の両国間の合意を通じて、これまで強制動員と輸出規制を結び付けてきた日本側の論理が崩れたという意味だが、強制動員問題が解決されない状態で、日本が輸出規制を完全に解除するかどうかは不透明だという意味ともいえる。

 結局、韓日間の対立を解決するためには、「強制動員被害者」の解決策探しが重要にならざるを得ない。国家安保戦略研究院のキム・スクヒョン対外戦略研究室長は「安保事案であるGSOMIA問題に対して慎重な態度で終了を延期し、輸出規制協議を行うことで“時間稼ぎ”をしたわけだが、強制動員問題の解決策をいかに模索するかがカギとなる」と説明した。最近、大統領府や首相室、外交部などは、強制動員の被害者に直接会って、解決策について意見を聞いている。韓国政府関係者は、「強制動員問題は被害者中心で解決していく考えだ。各界各層の意見を聴取する過程で最も重要な被害者の話を聞いた」と説明した。被害者の間でも解決方法をめぐって立場の違いがある上、訴訟に参加していない強制動員の被害者も数えきれないほど多く、意見の集約が難しいが、「被害者案」が出されても日本が受け入れるかどうかは不透明だ。

 目前に迫った課題もある。強制動員被害者に対する損害賠償の判決を受け、差し押さえられた日本企業の資産を現金化(売却)する問題が、韓日関係に新たな分岐点になる見通しだ。大邱(テグ)地裁や浦項(ポハン)の支院は今年5月から日本製鉄に対して現金化命令手続きを踏んでいる。日本政府は現金化措置と関連し、国際司法裁判所への提訴と韓国政府に対する賠償請求だけでなく、経済報復に乗り出す可能性があることをほのめかしている。現金化に対抗し、日本が追加の報復措置を取った場合、経済的被害だけでなく、韓日関係が回復不可能の状態に陥る恐れがあるという懸念の声もあがっている。世宗研究所のチン・チャンス首席研究委員は、「現金化が実行される前に、強制動員の被害者問題をめぐり、被害者と集中的に話し合う必要がある」としながらも、「今提起されているいわゆる 『ムン・ヒサン案』(韓日企業基金+国民募金+和解・癒やし財団の基金)は日本の責任を問わないという面で、成立は難しい」と述べた。ソウル大学日本研究所のナム・ギジョン教授も「政府が現実を考慮し、適当に妥協をすれば、2015年の慰安婦合意のように莫大な後遺症に悩まされるだろう」とし、「被害者たちと幅広く話し合う一方、訴訟に参加できなかった強制動員被害者たちのために真相究明や歴史的真実など、韓国政府にできることも並行していかなければならない」と指摘した。

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/918162.html韓国語原文入力:2019-11-23 02:34
訳H.J

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