日本の輸出規制に対する韓国内の否定的な世論が高まっている中、全経連が日本に対する報復はかえって日本の追加報復に口実を与え、韓国の被害が拡大する可能性が高いと警告した。
全経連のクォン・テシン常勤副会長は10日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)の全経連会館で開かれた「日本経済制裁の影響及び対策に関する緊急セミナー」で、「一部では、韓国政府も輸出制限をはじめとする通商政策で対抗すべきという声もあがっているが、日本の第二、第三の報復の根拠として利用される可能性があり、日本産製品の不買運動や日本旅行のキャンセルも紛争を解決するよりは悪化させるだろう」と主張した。さらに「政府は韓日のあつれきの原因を把握し、抜本的な解決策を模索することを優先的に行うべきだ」と述べた。日本は輸出規制を理由として、韓日間の信頼関係の損傷を掲げているが、強制徴用賠償判決が発端になったというのが大方の分析だ。
全経連傘下の韓国経済研究院のチョ・ギョンヨプ先任研究委員は、韓日貿易紛争の経済的影響の分析で「日本の材料の輸出規制は、関税賦課よりも経済的波及効果が大きい」とし、「日本の輸出規制によって国内の半導体材料が30%不足した場合、韓国の国民総生産(GDP)は2.2%、日本は0.04%それぞれ減少し、韓国の被害が大きい」と予想した。また、「韓国が輸出規制に対抗した場合、韓国と日本の被害はそれぞれGDPの3.1%、1.8%まで拡大する」と見通した。さらに、「半導体の材料の不足が45%に拡大した場合は、被害も急増するだろう」とし、「韓国のGDPが4.2%、日本は0.04%減少し、もし韓国が対抗すれば、韓国のGDPは5.4%、日本は1.3%減少するだろう」という見通しを示した。チョ先任研究委員は、韓日紛争による最大の受恵国に中国を挙げ、中国のGDPが0.5~0.7%増加すると予想した。一方、米国への影響は微々たるものになると見通した。
仁荷大学のチョン・インギョ教授は「通商問題をめぐる韓日のあつれきの根本原因は、歴史問題で政治的管理体系が崩れたため」としたうえで、「政治・外交的な失敗で発生した問題を通商政策で対応するのは筋違い」だと指摘した。また「産業貿易の構造上、韓国が日本を制圧するのは難しいため、対抗する戦争拡大戦略は国民に見せるための対応にすぎない」とし、「対話の議題を掘り出し、韓日首脳会議で解決すべきだ」と提案した。西江大学のホ・ユン教授は「日本製品の不買運動と日本観光の自制などは、国民感情からして理解できるが、効果が不確実でまた別の保護措置と認識され、日本政府に再報復の口実を与えかねない」と反対した。
ハナ金融経営研究所のイ・ジュワン研究委員は「日本の輸出規制で材料の輸入承認の手続きに90日がかかっても、最近の不況による半導体の在庫の解消と生産量の削減で生産体制を維持できるが、日本が承認自体を認めなければ産業全般に支障が生じるだろう」と懸念を示した。