本文に移動

[社説]非核化交渉とは別に「対北朝鮮食糧支援」を急ぐべき

登録:2019-05-16 06:33 修正:2019-05-16 08:01
デイビッド・ビーズリー世界食糧計画(WFP)事務局長が今月13日午後、ソウル世宗路の政府ソウル庁舎で、統一部長官との面会を終えた後、エレベーターに向かっている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 政府が北朝鮮への食糧支援の時期や方式、規模などをめぐり、世論集約作業を行っている。キム・ヨンチョル統一部長官は14日、民間団体関係者たちに会ったのに続き、15日には統一部政策諮問委員たちと懇談会を行った。これから1~2週間、多様な階層の人々に会って意見を収集するという。対北朝鮮政策の執行に世論の支持が重要だという点で、政府のこのような慎重なアプローチは十分理解できる。しかし、食糧支援が遅れると、支援効果が半減するだけに、時機を逸さず迅速に人道支援を決定し、執行することが必要だ。

 国連機関の現地調査によると、北朝鮮の食糧事情は最近10年以来最悪だ。昨年の干ばつなどの自然災害と農機具・肥料などの不足で作柄が悪く、食糧が136万トン不足しており、人口の40%の1010万人が飢えているという。先日、韓国を訪れたビーズリー国連世界食糧計画(WFP)事務局長は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と面会し、北朝鮮の食糧難を説明すると共に北朝鮮への緊急支援を求めた。これに対し、文大統領が「私たちの助けが必要な部分に積極的に貢献する」と述べたのは当前のことだと思われる。

 一部では「北朝鮮が最近短距離ミサイルを発射し、挑発したにもかかわらず、支援を行うべきなのか」と食糧支援の方針を批判する。しかし、政治・軍事問題と人道主義を分離して扱うことは、国際社会の普遍的人権規範だ。「悪い行動をした国に罰を与えなければならない」という名分で、罪のない民間人を苦しめるのは、現代文明社会で取るべき態度ではない。そのうえ、北朝鮮住民は私たちの兄弟姉妹ではないか。すでにカナダやフランス、スウェーデン、ロシア、スイスなど国際社会は、昨年だけで人道的レベルで3298万ドルを北朝鮮に支援した。同胞である私たちが手をこまねいているのは、いかなる理由であれ正当化できない。

 食糧支援は時期が極めて重要だ。国連世界食糧計画は北朝鮮の食糧難が7~9月に最も厳しいだろうと見通した。政府が直接北朝鮮に食糧を送っても、1~2カ月はかかるという。7月まで2カ月を切った状況であることを考えると、支援の決定と執行を急ぐ必要がある。北朝鮮も軍事挑発や根拠のない対南誹謗で、韓国と国際社会の人道支援に困難な環境をつくってはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/894048.html韓国語原文入力:2019-05-15 21:02
訳H.J

関連記事