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米国「北朝鮮、寧辺の核施設の廃棄計画も不明確」…対話への意志は繰り返し確認

登録:2019-03-02 07:15 修正:2019-03-04 10:09
マイク・ポンペオ米国務長官が今月1日、フィリピン外相との共同記者会見で発言している=マニラ/AP聯合ニュース

 首脳会談で合意が見送られたことをめぐり、朝米が責任攻防を繰り広げているなか、米国側は、北朝鮮が約束したと明らかにした寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄計画も不完全だったと主張した。北朝鮮が事実上、全面的な制裁の解除を要求したという主張も再び行なった。北朝鮮のリ・ヨンホ外務相が深夜記者会見で述べた内容に対する反論だ。

 マイク・ポンペオ国務長官は1日、フィリピンのマニラで記者会見を行い、「北朝鮮は寧辺で行う措置について開放的な態度を示しているが、北朝鮮が提供しようとする範囲はまだ完全に明確ではない」と述べたと、ロイター通信が報じた。また「北朝鮮は基本的にすべての制裁の解除を要求した」と繰り返し強調した。リ・ヨンホ外務相が深夜記者会見で、北朝鮮が要求したのは全面的な制裁解除ではなく、「2016~2017年(国連安全保障理事会で)採択された5件、中でも民需経済と人民生活に支障をきたす項目」だけだと主張したことに対する再反論だ。

 国務省関係者も「寧辺の核施設は、(範囲などの)規定が非常に重要な施設」だとしたうえで、北朝鮮が「その正確な意味」を確実に提供しなかったと主張した。プルトニウムと高濃縮ウラン生産施設など、300を超える施設が密集している寧辺の核施設について、十分満足できる廃棄計画を提示しなかったという意味と見られる。同関係者はまた「我々が現在直面しているジレンマは、北朝鮮が大量破壊兵器計画を完全に凍結する意思がないということ」だとし、「制裁を解除し数十億ドルを渡せば、北朝鮮の大量破壊兵器プログラムに補助金を与えることになる」と述べた。

 しかし、米国側は対話再開の意志も重ねて表明した。ポンペオ長官は「対話を続けるために交渉テーブルに戻りたい」と述べた。しかし、マニラに向かう飛行機で、交渉再開の時期に対する記者団の質問に対し、「時間がかかるかもしれない」と答えた。また「双方が再整備しなければならない」、「対話の理由が用意されなければならず、いかに前進するかについて理論を整えなければならない」と述べた。その一方で「スティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表の交渉チームが近いうち再び集まるだろう」と述べた。

 ポンペオ長官は「すべての問題について合意しなかったとは思わないでほしい」としたうえで、「我々は多くのことを進展させており、共通の理解に達した部分もある」とし、「交渉失敗論」には積極的に反論した。彼は「双方が達成を目指していることについて十分な(意見の)一致を見た。2人の指導者の(互いに対する)好感も確認することができた」と述べた。さらに「金委員長は非核化に向けた準備が完全に整っていると重ねて確認し、ミサイル実験と核実験を行わないと再び約束した」とし、「こうしたことが(対話継続の)柱、基礎として残っている」と述べた。また「ドナルド・トランプ大統領は相変らず大規模(軍事)演習を行わないと述べた。そのため、我々には今後前に進む基盤がある」と説明した。北朝鮮の核・ミサイル実験の中断と大規模な韓米合同軍事演習の中断を、交渉の基礎と相互信頼の基盤として維持するということだ。

 ポンペオ長官は、28日午前までは雰囲気が良かったように見えた首脳会談が、合意を見出せなかった過程については明らかにしなかった。ただし、「我々は徹夜で作業し、共同声明に(首脳が)署名することを正当化する十分な進展ができると期待していたが、そうはいかなかった。大統領が決定を下した」と説明した。記者団が共同声明の署名式時間まで決めたにもかかわらず、取りやめになった異例の状況について質問を続けると、「今日(28日)の朝までも希望を持っていた」と答えた。また「多くの準備作業があった」とし、「今回には一部進展があったが、両首脳が実際に会うまでは、何を選ぶか分からなかった」と述べた。さらに「我々はこの結果(合意破棄)にも備えてきた」と付け加えた。北朝鮮が土壇場でこれまでの約束を覆したわけではなかったとも述べた。実務交渉などを通じてある程度選択可能な合意案を作成したが、結局トランプ大統領の期待を満たせる北朝鮮の譲歩を引き出せなかったものと見られる。

イ・ボニョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/884179.html韓国語原文入力:2019-03-01 20:51
訳H.J

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