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[ニュース分析]文大統領、“トランプ持ち上げ”で南北経済協力事業の道を開く

登録:2019-02-20 22:04 修正:2019-02-21 12:17
文在寅大統領が19日夜、大統領府で2回目の朝米首脳会談を控えたドナルド・トランプ米大統領と電話で話している//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が19日夜に行ったドナルド・トランプ米大統領との35分間の通話は、2回目の朝米首脳会談の成功だけでなく、会談後の南北経済協力の加速化まで視野に入れている。

 大統領府の発表文によれば、文大統領は次の3点に力を入れた。一つめに「トランプ持ち上げ」、二つめにトランプ大統領が金正恩国務委員長との談判で非核化の相応の措置として活用する贈り物に南北経済協力事業を入れること、三つめに2回目の朝米首脳会談を契機に南北経済協力に対する「制裁免除を勝ち取ること」。南北経済協力事業を第2回朝米首脳会談の核心構成要素にして、会談の成功基盤を拡充すると同時に、3大経済協力事業(鉄道・道路の連結および現代化、開城(ケソン)工業団地、金剛山(クムガンサン)観光)を実行する道を開くという布石だ。大統領府の高位関係者は20日、「トランプ大統領の選択権を拡充すると同時に、南北経済協力に対する文大統領の考えを話したと見れば良い」と話した。

 文大統領はまず、国内政治的に守勢に追い込まれたトランプ大統領の“気力持ち上げ”に力を注いだ。文大統領は「北朝鮮との難しい交渉をここまで引っ張ってくることができたのは、トランプ大統領の指導力と確固たる意志のおかげ」だとしながら「南北関係で成し遂げた大きな進展もトランプ大統領の強い支持のおかげ」だと持ち上げた。自分を低めて相手を高める特有の“謙そんモード”だ。

 その後に本当に言いたいことを話した。「南北間の鉄道・道路連結から南北経済協力事業まで、トランプ大統領が要求するならばその役割を一手に引き受ける覚悟はできており、それが米国の負担を減らせる道だ」。文大統領が「北朝鮮の非核化措置を牽引するための相応の措置として、韓国の役割を活用してほしい」として出した提案だ。内容的には、南北経済協力事業を非核化の牽引カードとして使い、結果的にこの事業にかけられている“制裁のくびき”を解除してほしいという要請だ。ただし「制裁緩和」という表現は慎重に避けた。金剛山観光・開城工業団地事業を名指しで論じなかった点も同じ脈絡だ。「費用は私たちが引き受ける」というメッセージも含まれている。「北朝鮮に数十億ドルを与えた以前の轍を踏まない」というトランプ大統領の断言(15日のホワイトハウス会見)を念頭に置き、彼が2回目の朝米首脳会談強行に批判的な国内世論をなだめる“カード”を渡したわけだ。南北経済協力は、どのみち韓国が負うのであり追加負担のようなものもない。「金をかけずに人心を得る」ということだ。

 特に注目すべき点は、大統領府が「南北鉄道・道路の連結」を意識的に、それも先頭に明示したという事実だ。この事業に対する文大統領の強い意志がにじみ出ている。国連決議2375号(2017年9月11日採択)は、18条で「非商業的で利潤を創出しない公共インフラ事業」は「事案別に(対北朝鮮制裁)委員会の承認」を前提に可能だと明らかにしている。昨年12月26日に着工式はしたが、本工事には乗り出せなかった鉄道・道路の連結および現代化事業がこれに該当する。対北朝鮮制裁の専門家であるキム・グァンギル弁護士(法務法人 地平)は「国連決議2375号18条により、制裁委員会が公共インフラ合作会社の設立を承認すれば、鉄道建設などに必要な機資材の輸出入禁止も例外として認定する包括的承認が可能」だと話した。

 重要なのはトランプ大統領の反応だが、キム・ウィギョム大統領府報道官は「トランプ大統領の反応は肯定的だった」と20日のブリーフィングで伝えた。

イ・ジェフン先任記者、ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/882882.html韓国語原文入力:2019-02-20 19:58
訳J.S

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