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カン長官「米国は核申告の要求見送るべき」…「終戦-寧辺核施設」ビッグディール提示

登録:2018-10-05 06:11 修正:2018-10-05 09:19
カン・ギョンファ外交部長官=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 カン・ギョンファ外交部長官が3日(現地時間)ワシントン・ポスト紙とのインタビューで、「初めから(核)リストを要求すると、その後の検証をめぐる論争で交渉を膠着状態に陥らせる恐れがある」と明らかにした。米国が北朝鮮に求める非核化関連の優先措置として「核リストの申告」を掲げるのは不適切だという指摘だ。さらに、カン長官は「過去とは異なる方式でアプローチする必要がある」とし、「相応措置」と関連した米国側の「柔軟性」と「信頼構築」の重要性を重ねて強調した。6・12朝米首脳会談以降、両国が長く「申告対終戦宣言」で対抗してきたことを考えると、異例の公開発言だ。7日に4度目の訪朝を控えたマイク・ポンペオ米国務長官も同日、ワシントン国務省で記者会見で、「核リストの申告」について言及しなかった。

 韓米外相のこのような態度は、注目に値する微妙な変化だ。これは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長が「9月平壌共同宣言」で「核リストの申告」は言及せず、東倉里(トンチャンリ)と寧辺(ヨンビョン)など「実物・行動中心」の非核化プロセスを提示した内容と同じ脈絡だ。南北首脳は、「核兵器のない朝鮮半島」を重ねて約束し、「東倉里のエンジン実験場・ミサイル発射台、関係国専門家の立会いのもとでの永久廃棄処分」(善意の一方的処置)+「米国が6・12共同声明の精神に基づき相応措置をとるならば、寧辺の核施設の永久的廃棄などの追加措置」(条件付き追加措置)という「非核化初期のロードマップ」を提示した。米国が重視する「不可逆的(永久的)核廃棄」、「検証」(立合い)、「核兵器のない朝鮮半島」、「寧辺の核施設」などが盛り込まれている。

 ポンペオ長官の「予想より早い」(大統領府関係者)訪朝の決定は、朝米が交渉進展の障害だった「申告-終戦宣言フレーム」から抜け出す糸口をつかんだためではないかという期待混じりの見通しが示されているのもそのためだ。

 カン長官はワシントン・ポスト紙とのインタビューで、「核リストの要求」を優先する行為の危険性と関連し、2008年に寧辺の核施設の冷却塔を爆破してからも、申告・検証をめぐる議論・不信の拡大により6か国協議が“破局”を迎えた歴史的先例を振り返った。さらに「ある時点では、北朝鮮の核リストを見なければならない」としながらも、「両方に十分な信頼を与えられる行動と相応措置があってこそ、その時点により早く到達できる」と付け加えた。

 カン長官は4日、国内マスコミのみを対象にした記者会見で、さらに一歩踏み込んだ。朝米両国の「70年間(積み重なった)不信」を喚起させ、「過去の方式とは異なるアプローチ」、すなわち「信頼の構築と共に進める非核化」の必要性を提案した。この過程で「柔軟性」を7回、信頼を3回、不信を2回言及した。脈絡は「(不信を和らげる信頼構築に向けて)米国が提供できる相応措置を包括的に考慮」すべきということだ。

 カン長官は同日の会見で「他のアプローチ」の内容についても一部言及した。寧辺の核施設の永久廃棄処分に見合う相応処置として「終戦宣言」を挙げた部分がそうだ。カン長官は「韓米の間でも終戦宣言と関連して多くの協議が行われた」とし、「終戦宣言に対する米国の理解も、かなり進展してきた。結局は終戦宣言にいかなる内容が含まれるかがカギ」だと説明した。さらに「その他にも他の措置があり得る」とし、「プラスアルファ」の可能性を残した。北側はリ・ヨンホ外務相の国連総会基調演説(9月29日)を機に、「労働新聞」などを通じて「終戦宣言」と「制裁問題」を争点化している。

 北朝鮮に要求する非核化措置の入り口に「核リストの申告」を置くことについては、北朝鮮の拒否反応以外にも、多くの専門家からも深い懸念が示されてきた。例えば、米国の代表的な核兵器専門家のジークフリード・ヘッカー米スタンフォード大学名誉教授は9月27日、延世大学での特別講演で「相互信頼がない状況で、申告・検証にこだわれば、袋小路に追い込まれるだろう」としたうえで、「北朝鮮の寧辺核施設の永久廃棄の提案を受け入れて、まず閉鎖作業を行い、その過程で積み上げた信頼をもとに申告と査察問題も解決する方法を考える必要がある」と提案したこと。

 ワシントン・ポスト紙は、カン長官が検証手続きが含まれた北朝鮮の寧辺の核施設の廃棄と終戦宣言を交換する提案をしたとして、この案が北朝鮮との交渉を再開するポンペオ長官のオプション(選択肢)の一つになるだろうと見通した。

 米国政府の本音はまだ確認されていない。米国務省は、核リストの申告を遅らせたり終戦宣言に対する米国政府の方針を問うワシントン・ポストの質問に答えなかったと、同紙は報じた。ポンペオ長官も会見で「終戦宣言であれ何であれ、交渉を進行中の事案については言及を差し控えたい」として、慎重な態度を示した。

 結局、カン長官が会見で重ねて強調したように、「ポンペオ長官の訪朝(協議)の結果」が重要だ。「北朝鮮と米国の間で相互の観点の違いが明らかであるため、(ポンペオ長官が訪朝して)ある程度の成果を上げられるかは依然として不透明」(3日、大統領府関係者)だからだ。「米国国内の政治状況を考慮すると、米国政府が“核申告問題”で柔軟な態度を示すのは難しいだろう」(米国事情に詳しい消息筋)という意見もある。

 一方、北朝鮮の対米実務交渉窓口であるチェ・ソンヒ外務副相は4日午前、北京に到着した。チェ副相は、中国とロシアを相次いで訪問し、朝鮮半島の状況に対する協議に乗り出すという。

キム・ジウン、イ・ジェフン記者、東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/864544.html韓国語原文入力:2018-10-04 22:31
訳H.J

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