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ヤン・スンテ前最高裁事務総局、「最高裁判事増員」案に「進歩勢力入り込む危険」排除

登録:2018-06-06 08:30 修正:2018-06-06 19:26
ヤン・スンテ前最高裁長官時代、最高裁が上告裁判所の導入に向けて朴槿恵大統領府と取引したという疑惑をめぐり検察捜査を求める世論が高まっている。2016年1月4日、大統領府の迎賓館で開かれた新年会で朴前大統領とヤン前最高裁長官が乾杯している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 ヤン・スンテ前最高裁長官時代、 最高裁判所事務総局が上告事件の滞りを解決する代案として提示した「最高裁判事増員」案について「民弁(民主社会のための弁護士会)など進歩勢力が進入を試みる恐れがある」との理由で反対する方針を立てたことが分かった。

 5日、アン・チョルサン最高裁判所事務総長は、先月25日の司法行政権乱用疑惑に対する特別調査団(特調団・団長:アン事務総長)の調査結果の発表当時、公開しなかった文書の一部を追加公開した。このうち2015年8月3日に作成された「VIP報告書」というタイトルの文書には、上告事件の累積による苦情を伝え、上告裁判所の設置を提案する内容が書かれている。この文書はヤン元最高裁長官と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の単独面談(2015年8月6日)の3日前に作られた。

 このうち「上告裁判所判事の民主的正当性の確保」という見出しの文書で、ヤン・スンテ最高裁事務総局は「上告審事件の急増で物理的限界に直面」し、「上告事件の処理の遅延による経済的損失も莫大」だとしながら「上告制度の改善が切実」だと強調した後、代案として挙げられていた上告許可制、最高裁判事の増員などの代案の長所・短所を列挙した。

 特に、最高裁判事の増員の方針については「危険性および虚構」の根拠に「進歩派の人物らの最高裁判所進出。民弁など進歩勢力を背後に最高裁判事の増員論を強く支持?上告裁判所の導入が座礁すれば、最高裁判所増員論を代案に掲げ最高裁判所への進入を試みるだろう」とした。当時、ヤン長官は自身の人事権が強化される上告裁判所の設置を強く進めてきた状況だった。代案の選択時に、進歩寄りの最高裁判事が増える恐れがあるという懸念をあおり、保守政権を圧迫した形だ。さらに他の代案として議論された上告許可制についても「グローバル・スタンダードに合致するものの、国民の情緒と乖離しており、すでに失敗した経験」を反対根拠に挙げ「上告裁判所案が最善ではないが、韓国の現実に適した次善の改善策」と結論づけた。

 さらに、上告裁判所判事の任命課程で「大統領の意中を最大限反映できる制度的装置」を設けるという方針もまとめた。「民主的正当性のため大統領が最高裁判事を任命」するようになっているが、「上告裁判所判事の任命についても憲法の趣旨を尊重し、上告裁判所判事の推薦委員会の構成にも反映する」という内容だ。

 ヤン・スンテ最高裁事務総局は、朴槿恵政権が推進していた「創造経済」と「司法韓流」を結びつける”強引な手”も使った。「創造経済の具現に向けた司法韓流の推進」という見出しの文書には「先進的司法システムの構築」を「国家経済発展と直結」させる内容が含まれている。その具体的な方策として「知的財産権(IP)と司法サービスの結合で新成長動力づくり」、「国家自由経済区域内の国際商事裁判所の新設」、「司法制度の輸出」などが提示された。また、開発途上国に司法制度を輸出するための共同事業体を作る案も構想しているが、「BH(大統領府)がコントロールタワーとなり関連機関が参加する共同推進体を構成、司法韓流政策を標榜および推進?経済革新3カ年計画の強力な推進動力として活用」し、「創造経済の具現に貢献する全国家的革新アジェンダに設定」するというのが、当時の最高裁事務総局が提示した計画だ。

ヒョン・ソウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/847737.html韓国語原文入力:2018-06-05 14:01
訳M.C

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