本文に移動

米中貿易戦争、管理モードに切り替わるか

登録:2018-05-21 05:57 修正:2018-05-21 07:13
昨年11月に中国を訪問したドナルド・トランプ米大統領が人民大会堂で開かれた歓迎式で、中国の習近平国家主席と会話を交わしている=北京/AP、聯合ニュース

 米中両国が増え続ける米国の対中貿易赤字を減らしていくことで合意し、正面対決に突き進んでいた貿易摩擦を解消できる糸口をつかんだ。しかし、具体的な赤字減少幅と米国の経済制裁によって正常営業が難しくなった中国の通信関連企業「中興」(ZTE)に対する制裁の緩和など、他の争点は今後の課題として残された。

 米ホワイトハウスは19日(現地時間)に発表した米中共同声明で、両国は「米国の対中国貿易赤字を実質的に減少させる実効的な処置を取ることで合意した。中国人たちの増える消費需要を満足させ、経済の質の高い発展を促進するため、中国は米国商品とサービスの購買量をかなりのレベルで増やす。これは、米国の成長と雇用に貢献するだろう」と明らかにした。両国は、さらに中国が「米国の農産物とエネルギー輸出を意味のあるレベルで増やす」と共に、「特許法を含めて、(米国が重視する知識財産権と関連がある)法律と規制を改正していくこと」で合意した。また、これと関連した「具体的な内容を協議するために、米国が中国に代表団を派遣」し、「肯定的な方向で問題を解決するため、高官級接触を続けていく計画」だと明らかにした。中国代表団を率いた柳河副首相は交渉が終わった後、記者団に「今回の交渉の最大の成果は、双方が共同認識に達し、貿易戦争をせず、互いに対する関税の賦課の中断に合意したこと」だと述べた。

 昨年1月に就任したドナルド・トランプ米大統領は、選挙運動期間から「米国優先主義」を掲げ、天文学的レベルに達している対中貿易赤字を減らすと公言してきた。米国が本格的な砲門を開いたのは、今年に入ってからだった。米国通商代表部(USTR)は4月3日、通商法第301条に基づいて500億ドルに相当する先端産業(IT)分野を中心に中国産輸入品1333品目に25%の高い関税を課すことを発表した。中国政府は、米国政府の発表からわずか10時間後に、米国産自動車や豆など106品目に対する報復関税の賦課で対抗した。

 「強対強」の対決に突き進んでいた両国間の貿易戦争が対話モードに転じたのは4月末からだった。トランプ大統領は4月24日、スティーブン・ムニューシン財務長官などを北京に派遣し、「中国と貿易問題について話し合う」方針を明らかにした。ムニューシン長官などは当月3~4日、北京で柳河中国副首相などと第1次交渉を行った後、ワシントンにでも17~18日に第2次交渉を行った。第1次交渉で、米国政府は昨年3750億ドルにのぼる対中貿易赤字を2020年まで2000億ドルまで減らすべきと主張したが、中国は難色を示したという。

 今回の合意で、最悪の状況は回避されたが、問題が解決したわけではない。今回の貿易交渉の主要議題は、米国の対中貿易赤字幅の削減▽ZTEに対する制裁緩和▽米国が猛反発している中国の先端産業に対する補助金問題(「中国製造2025」計画)などだった。しかし、米国の対中貿易赤字を減らし、これに向けて肯定的な方向で対話していくという“大きな原則”に対する合意が行われただけで、具体的な赤字減少幅とこれを実現するための方法は示されていない。また、共同声明に関連内容がないことから、ZTE問題と中国の先端産業育成政策に対する合意もなされなかったものとみられる。

北京、ワシントン/キム・ウェヒョン、イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/845457.html韓国語原文入力:2018-05-20 21:03
訳H.J

関連記事