本文に移動

米国の“技術冷戦”に、中国がトランプの票田ねらい真っ向勝負

登録:2018-04-04 23:16 修正:2018-04-05 09:14
米貿易代表部、1300品目の先端産業関税目録発表 
技術冷戦時代…世界覇権賭けて神経戦 
中国は直ちに大豆、自動車、航空機に報復関税発表 
水面下の調整は進行中…世論取りまとめの“60日間”が分岐点
昨年8月、中国・北京で開かれた世界ロボットカンファレンスで、参加企業が中国製ロボットの展示を準備している。米国政府が4日に発表した1300品目の中国産製品に対する関税賦課は、中国の先端技術製品を主にねらっている=北京/AP聯合ニュース

 米国と中国の“貿易戦争”が、報復と対抗報復を繰り返しながら全面戦争に駆け上がっている。妥協点を見つけられなければ、世界経済全般に少なからぬ打撃を与える事態に発展することが憂慮される。

 中国国務院の関税細則委員会は4日午後、米国産大豆・自動車・航空機・化学製品など年間500億ドル相当の106品目に25%の報復関税を賦課すると発表した。これに先立ち同日午前(米国時間)、米通商代表部(USTR)が25%の高率関税を賦課する1300の中国産品目を発表したことに対する即刻報復措置だ。米国が年間500億ドル規模の中国産輸入品に関税を賦課することにしたのに合わせて、“目には目を、歯には歯を”式の正面対応をしたということだ。中国当局は「関税賦課の時点は、米国が中国産製品に関税を賦課する時点に合わせるとし、別途日程を発表する」と明らかにした。二大強大国(G2)はこの日、相互の急所を直接ねらった。米通商代表部はこの日、関税賦課対象品目を発表して、中国の10大核心産業育成プロジェクトである「中国製造2025」をはじめとして、中国の不公正産業政策により恩恵を受けたものなどだと指摘した。テレビなど一部の消費財も含まれたが、主な対象は半導体、ロボット、通信装備、航空宇宙、高性能医療機器など中国の核心未来産業だ。これはドナルド・トランプ大統領が先月22日に“大統領覚書”を通じて中国の強制的技術移転要求と投資制限慣行を指摘して、目録を提出するよう指示したことに伴うものだ。ウォールストリートジャーナルは「中国の貿易慣行に対する数十年ぶりの最も攻撃的な米国の挑戦」と評価した。

 特に先端産業に対する関税目録は、単純に昨年3750億ドルまで増加した対中貿易赤字を減らす側面を超えている。“技術ふるまい”を通じて世界の覇権まで収めようとする中国の長期戦略を、先制的に牽制するという意図が込められているためだ。ワシントンの貿易消息筋は「米国も4次産業革命に関連した中国の技術発展を恐れている」と話した。

 中国が米国経済を圧倒することになれば、勢力再編期にあらわれる武力衝突を回避し、自然に唯一強国に上がる可能性もある。中国はバラク・オバマ行政府時期にも米国先端企業の吸収・合併障壁を下げてほしいと要求してきた。米国の代表的政治リスク研究企業であるユーラシアグループも、今年の初め「2018年最上位リスク」報告書で、人工知能(AI)のような最先端技術の勝者が「経済のみならず地政学的に今後の数十年を支配できる」として、“技術冷戦”時代が到来したと指摘した。米国政府は「中国製造2025」に代表される中国政府レベルの先端技術発展戦略が、米国を越えるための長期的覇権戦略だと見て、これを牽制するために本格的に乗り出したわけだ。

 中国も直ちに真っ向勝負に出た。中国がこの日、米国産大豆、自動車、航空機、化学工業品などに報復関税を賦課すると発表したのは、米国大統領選挙でトランプ大統領を強力に支持した中西部の“ファームベルト”(農業地帯)と“ラストベルト”(衰退した工業地帯)の主力生産品をねらったものだ。今年中間選挙を控えたトランプ大統領の“弱点”をついたわけだ。特に米国のトランプ大統領にとって最も痛い“大豆”カードを持ち出した。朱光耀・財政部副部長(次官)はこの日、記者会見で「対中国輸出は米国産大豆の全輸出量の62%を占める」と話した。中国は昨年、米国産大豆3285万トン、140億ドル相当を輸入した。

 中国の迅速な対応も異例だ。中国商務部は4日午前、米通商代表部発表から1時間あまりで「同等な強度と規模の対等な措置を準備している。近く発表する」と警告し、当日午後には大規模報復関税方針を発表した。朱光耀副部長は「新中国建国以来、中国は外圧に屈服したことがない」とまで話しながら、真っ向勝負を予告した。

 11月の米国中間選挙を控えて始まった“貿易戦争”は、報復の悪循環を繰り返しながら不確実性を高めている。トランプ行政府は今年初め、洗濯機と太陽光パネルに対するセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動したのに続き、中国産鉄鋼・アルミニウムに“関税爆弾”を落とし、中国はこれに対し2日、米国産農産品128品目(年間30億ドル分)に報復関税で正面対抗した。さらに二日後には米国が500億ドル規模の中国産輸入品に高率関税目録を発表した当日、同じ金額の米国商品に対する報復関税を発表した。

 チャド・バウン氏(ピーターソン国際経済研究所シニア・フェロー)は、ウォールストリートジャーナルに「今回の関税はマクロ経済に大きな衝撃を与えないだろう」としながらも「さらに大きな心配は、どこで止まるのかが全く分からないこと」だと話した。米国が今月末にコピー・偽造商品を調査して出す中国の知的財産権侵害に対する報告書も揮発性の高い事案だ。

 ただし、米国が5月末まで世論の取りまとめを経るとしていることと、中国も4日に発表した大規模報復関税の施行日はまだ決定されておらず、妥協の余地は残っている。王受文・商務部副部長は4日、記者会見を行い「交渉で問題を解決するドアは今も開かれている。米国が談判を願うならば、相互尊重の基礎の上に交渉を進め、意見の食い違いを解決することができる」と話した。両国が最も強力なカードを取り出しただけに、実際の関税賦課時点までには激しい水面下の交渉が続くと見られる。米中関係に明るい消息筋は「今後調整の余地はあるが、そこでも交渉が失敗すれば関税措置は現実になる」と話した。

ワシントン、北京/イ・ヨンイン、キム・ウェヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/839087.html韓国語原文入力:2018-04-04 19:40
訳J.S

関連記事