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「反トランプ」の米マスコミ・官民、対北朝鮮交渉まで過小評価

登録:2018-04-24 06:40 修正:2018-04-24 09:16
ドナルド・トランプ米大統領が今月22日、対北朝鮮交渉に対する米マスコミと政界の批判について、ツイッターで「対北朝鮮交渉の近くにも行ったことのない専門家という人たちが、私に交渉術について語るとはおかしなことだ」と皮肉った。//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領に批判的である米メディアなどが、彼の主導する対北朝鮮交渉を過小評価している。米国の各マスコミは、昨年トランプ大統領の対北朝鮮強硬措置を非難し、対話を促したが、いざ北朝鮮との対話を始めると彼を批判しはじめた。

 トランプ大統領は22日、ツイッターで、自分に批判的なNBCの司会者チャック・トッド氏の放送内容に触れ、「偽ニュースNBCの眠たそうな目のチャック・トッドは、我々が北朝鮮との交渉であまりにも多くを譲歩し、彼らは何も譲歩しなかったと話した。ワオ、我々は何も譲歩しておらず、彼らは非核化(世界にとっては素晴らしいこと)、核実験場の閉鎖と実験中止に同意した!」と反論した。

 また、「北朝鮮問題で結論に到達するまでは、まだ長い道のりが残っており、おそらくうまく行くことも、行かないこともあるだろう。時が教えてくれる…しかし、私が今やっているのは、ずっと前に終わっていなければならないことなのだ!」と主張した。

 彼は数時間後にまたツイッターで、「北朝鮮との交渉の近くにも行ったことのない専門家という人たちが、今私に交渉術について語るとは、なんとおかしなことだ!」と皮肉った。これまで北朝鮮との対話と交渉を進めなかった前政権や米国官民らが、北朝鮮との交渉にけちをつけているという批判だ。

 これに先立ち、NBC放送のチャック・トッド氏は放送で、「金正恩(キム・ジョンウン)氏は交渉で実際に提供したものはほとんどないが、たくさん提供したかのように行動している」とし、「米国が求める前提条件はそれほど多くないようだ」と批判した。トッド氏のこのような論評は、北朝鮮が21日、豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄と核・ミサイル実験中止を発表したことに対する米メディアなど米国官民の典型的な評価だ。

 前日、ニューヨークタイムズとワシントンポストなど、代表的なマスコミも、北朝鮮の措置に対して「核保有国宣言」、「ホワイトハウスの高官らは疑念」などの表現を使い、批判的に報道した。

 ニューヨークタイムズは、北朝鮮がこれ以上核実験をする必要がなくなったため、核実験場を廃棄し、核・ミサイル実験を中断することにしたとして、北朝鮮が核兵器の完成を宣言したものだと解釈した。また、「金正恩が望んでいるのは何か」として、「米国は、その答えが少なく譲歩し多くを得るのではないかと懸念している」と分析した。

 同紙は22日、「トランプは北朝鮮にあまりにも多く譲歩したという認識を一蹴した」という見出しの記事で、トランプ大統領のツイッターの内容を伝えながらも、「米国政府内外の専門家らは、金正恩の最終的な目標は、自分が示した譲歩にもかかわらず、北朝鮮が核保有国として認められることだ」と評価した。

 ワシントンポストは、北朝鮮の措置にトランプ大統領の補佐陣は驚いたが、プライベートでは懐疑的な立場にあり、あまり感心していないと伝えた。同紙は、金正恩委員長の動きは、彼が合理的で、喜んで交渉に乗り出すという“幻想”を植え付けるため、相対的に穏健な約束を提案したものだが、この約束はすぐにでも覆されうるとホワイトハウス補佐陣らは見ていると伝えた。彼らはまた、政治的には北朝鮮の要求を拒否するのが難しくなっており、トランプ大統領がわなにかかる恐れがあるという憂慮を示したと、同紙は報じた。

 トランプ大統領に批判的な米国官民関係者らも、北朝鮮の処置を過小評価している。

 駐韓大使に内定されたが、落馬したビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長は21日、北朝鮮の宣言は「責任ある核保有国のすべての面を示している」とし、「つまり実験禁止や先制使用禁止、移送禁止について説明している」と指摘した。北朝鮮が核保有国であるかのように行動しているいうことだ。

 トランプ大統領との不和などで再出馬を放棄した共和党のボブ・コーカー上院外交委員長は、CNNとのインタビューで、トランプ大統領が主導する朝米交渉について、「政府と議会のすべての人たちは懐疑と慎重さを持ってアプローチしなければならない」と批判した。彼はまた、ABCとのインタビューでは「金正恩をなだめて非核化を引き出せるという考えは現実的ではない」とし、金委員長の宣言が「簡単に覆される可能性がある」と指摘した。

 トム・コットン共和党上院議員も、CBSとのインタビューで、北朝鮮の処置に感銘を受けなかったとして「実験を継続するよりはましだが、それほど良いわけではない」と評価した。彼は「簡単に覆されうる決定」だとして、疑念を示した。

 米国のマスコミとの官民の批判的態度は、昨年、トランプ大統領が「炎と怒り」など、北朝鮮に対する強硬発言を乱発し、戦争危機が高まった当時の批判とは大きく異なる。当時、米国のマスコミは彼が慎重でない言動で戦争危機を高めているとし、北朝鮮との対話など介入政策を展開すべきだと批判した。メディアに引用された多くの北朝鮮専門家らもこのような意見を示した。

 しかし、トランプ大統領が北朝鮮と対話を開始し、北朝鮮から核とミサイル実験の中止について進展した処置が出てからは、欺瞞戦術ではないかと批判しているのだ。また、トランプ大統領が北朝鮮に対して、現在まで可視的に譲歩したものが何もないにもかかわらず、かなり多くの譲歩をしただろうという推測に基づいた批判まで加えている。

チョン・ウィギル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/841639.html韓国語原文入力:2018-04-23 22:05
訳H.J

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