金英哲(キム・ヨンチョル)労働党中央委員会副委員長が率いる第2次高官級代表団が、2泊3日の訪韓日程を終え、27日昼、北朝鮮に帰った。平昌(ピョンチャン)冬季五輪を契機に開かれた南北米の2回目の“探索戦”も一段落した。これから南北米は今回の機会に確認したそれぞれの立場をもとに、次の段階に進むための分析戦に入るものと予想される。
大統領府高官は、金副委員長一行が北に帰還した後、記者団に「私たちと第1段階に何をし、第2段階には何を行い、第3段階には何を進めるかについて、合意しに来たわけではなかった」と説明した。同高官は「金副委員長がここで何かを決定できる状況はではなく、(北朝鮮に)持ち帰って内部に報告するだろう」とし、「北側もそれなりに(立場を)まとめる必要があるため」だと話した。金副委員長など北朝鮮の高官級代表団は同日午前11時55分頃、京畿道坡州(パジュ)都羅山(トラサン)南北出入事務所(CIQ)を通じて北側へ戻った。
当初、大統領府は金英哲副委員長が「朝米対話」などに対する金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長のメッセージを持ってくると期待していたが、金副委員長は「米国と対話する用意がある」という原論的な立場だけを再確認したものとみられる。金副委員長は、むしろ今回の訪韓でチョン・ウィヨン大統領府安保室長など南当局者から、米国の“真意”を把握する一方で、朝米間の仲介役を買って出た文在寅(ムン・ジェイン)大統領の構想を詳しく聞いた。大統領府高官は「金副委員長が文大統領と平昌で面会し、チョン・ウィヨン室長とチョ・ミョンギュン統一部長官などにも会った。朝米対話に向けた様々な条件と、朝米対話のためにはどのような段階を踏むべきなのかについて話し合っただろう」とし、「北朝鮮側がどのような考えを持っているかを把握し、私たちが知っている米国側の立場を伝えるのが重要だが、そのような論議があっただろう」と予想した。
これにより、非核化および朝米対話に対する北朝鮮の進展した措置を求める文大統領の構想について報告を受けた金正恩委員長が、どのようなメッセージを送ってくるかが、今後の朝鮮半島情勢における主要なポイントであることは明らかだ。これに先立ち、今月9~11日に訪韓した北朝鮮の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長など高官級代表団も、帰還直後の12日に金委員長に訪韓活動について報告した。当時、北朝鮮メディアは、金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長が「今回の活動期間に把握した南側の真意と米国側の動向などについて詳しく報告し、金委員長は南北関係の改善・発展方向を具体的に提示」したと報じており、これを向けて「実務的な対策を樹立せよ」という金委員長の「綱領的指示」もあった。
文在寅政権も、北朝鮮の対南・対米政策総括である金副委員長から確認した金正恩委員長の立場を多角的に分析する作業に入った。大統領府高官は「私たちも北朝鮮側代表団から聞いた話を総合して分析しなければならず、分析が行われれば、米国側にもこのようなことについて説明しなければならないだろう」と話した。近日中に外交部高官が訪米することが知られているが、政府はまず、外交チャンネルを通じて米国に今回の南北接触の結果を伝えるものとみられる。
米国も、金副委員長が伝えた立場を聞いて北側のメッセージの脈絡を把握した後、次の行動を決める見込みだ。問題はドナルド・トランプ米大統領が25日(現地時間)「適切な条件下でのみ、北朝鮮と対話する」と明らかにしただけでなく、「非核化に向けた対話」のハードルを上げており、朝米間の神経戦はしばらく続くものと予想される。