開城(ケソン)工業団地に入居していた企業らが、工場施設と資材などを点検する目的で政府に訪朝申請した。今まで硬直していた南北関係が平昌(ピョンチャン)冬季五輪を機に改善されているだけに、韓国政府と北朝鮮がこのような企業の申請を受け入れるか注目される。
開城工団企業非常対策委員会は26日午前、「開城工団訪朝承認の訴え」を出し、「開城の工場と設備が南北関係断絶によって放置されてから2年が過ぎた。遅くなったが、今からでも韓国の企業家にとって子どものような工場施設の点検と保存対策を立てることが急がれる」と明らかにし、統一部に訪朝の承認を要請した。2016年2月、朴槿恵(パク・クネ)政府が開城工業団地の全面中断を宣言した後、入居企業は施設、材料などの財産をきちんと回収できないまま開城工業団地から撤退しなければならなかった。これにより企業は莫大な財産被害を受けた。
実際、統一部は昨年12月に「統一部政策革新意見書」を発表し、開城工業団地中断の過程の問題点を認めている。統一部は意見書で「開城工業団地の全面中断措置以後、すべての企業は投資を通じて取得した不動産を残し、当該権利を売却したり回収する方法もなく撤退した」とし、「各種設備、原・副資材や完成品もほとんど回収する余裕もなく撤退し、北朝鮮の凍結および清算措置が加わり、被害を減らすことがより難しくなった」と明らかにした。当時、政府は2月11日から3日間で入居企業と営業所の撤収を完了し、残留人員は18日までに撤退させる計画だった。しかし、中断の発表(2月10日)の翌日午後、北朝鮮が開城工業団地の資産全面凍結およびすべての人員の追放措置を取ったため、各企業は各種設備、原・副資材や完成品を回収する余裕もなく撤退しなければならなかった。
入居企業は、朴槿恵政府時代に3回、文在寅(ムン・ジェイン)政府に入って1回の計4回、訪朝申請をした。だが、前政府は3回の申請を全て拒否した。文在寅政府はこれらの入居企業の訪朝申請を受け入れ北に意思を打診したが、当時は北側が申請を受け入れなかった。シン・ハギョン開城工団企業協会会長兼非常対策委員長は「今まで西海(ソヘ・黄海)軍通信線など南北連絡チャンネルが断絶され、訪朝申請の意思を北朝鮮に知らせることさえ難しかった」とし、「五輪を契機に連絡チャンネルが復元された。開城工業団地は、南北交流・協力の象徴だ。すぐに再稼動するというのではなく、五輪の火種をつないでいくという次元で施設物の点検をしたいと思う」と、訪朝申請の趣旨を明らかにした。
非常対策委は「私たちの開城工場と設備が南北関係断絶によって放置されてから2年が過ぎた。遅くなったが、今からでも韓国の企業家らにとって子どものような工場施設の点検と保存対策を立てることが急がれる」とし、「私たちが置いて出てきた工場と設備を点検するために、これまで4回も訪朝申請をしたが実現しなかった。だが、今回は実現するという希望を持って、慎重に訪朝申請をする」と明らかにした。さらに、「私たちがいつになく大きな期待を持つのは、平昌冬季五輪を機に西海の軍通信線と京義線の陸路と空、海の道が開かれたため、南北関係改善に希望が見えたからだ。韓国の企業家たちが財産を確認し、設備の老朽化を最小化できるよう、南北両当局はあらゆる努力を傾けてくれる事を望みながら、そのために最も至急かつ現実的な開城工業団地訪朝の承認がなされることを切に求める」と付け加えた。