政府が新しい韓米防衛費分担金交渉を目前にして、かつての交渉の問題に対する検討結果を公開するなど、本格的な交渉準備に入った。3月から始まる韓米間の第10次防衛費分担金交渉は最近、ドナルド・トランプ政権の激しい分担金増額圧力が予想される中、文在寅(ムン・ジェイン)政府にとって大きな挑戦になる可能性が高い。
外交部は21日、2014年の第9次韓米防衛費分担特別協定(SMA)について内部タスクフォース(TF)が調査した結果、当時、政府が米国に現金支援を増やせるようにした例外規定を報告せず、「裏合意の疑惑を招く素地を残した」と明らかにした。外交部当局者は「協定が妥結された時点で例外的な現金支援の文案について合意したにもかかわらず、国会批准同意過程で報告しなかったことは明らかだ」とし、「第3者の視点から見ても、裏合意疑惑を招く素地を提供したと言える」と指摘した。カン・ギョンファ外交部長官も同日、国会外交統一委員会に出席し、このような調査結果を認めながら「第10次交渉では、そのような問題が繰り返されないよう、綿密に準備して交渉に臨む」と明らかにした。カン長官は、朴槿恵(パク・クネ)政府で第9次交渉首席代表を務めたファン・ジュングク英国大使らの問責問題については、「検討結果をめぐり、外交部でいかなる措置を取るかを検討している」とし、具体的な言及を避けた。
裏合意の問題の中心には、米軍の盗聴・傍受施設の「特殊情報施設」(SCIF)の建設支援金がある。韓米は第8次防衛費分担金協定の時から軍事建設費の場合、監査費(全体の建設費の12%)を除いた費用88%を全額現物支援するようにしている。しかし、第9次交渉の履行約定に、米国が「軍事上必要によって可用現金が不足しており、韓国と米国が合意する場合は、例外的に現金を支援することができる」と例外条項を設けた。第8次交渉では交換覚書に盛り込まれた内容が、第9次交渉では両国が安保分野の閣僚会議決定として具体化し、両国の副代表が仮署名した履行約定として処理されたというのが、外交部側の説明だ。政府は2014年1月、第9次交渉を終えた後、同協定に対する国会の同意を要求し、本協定文と交換覚書の2件を国会に提出したが、当時議論中だった履行約定については報告しなかった。米国側が履行約定文案の最終合意まで、論議の事実を非公開にすることを求めたからだ。政府は今回のTF調査結果を生かして、3月から始まる第10次防衛費分担金交渉をより透明に推進する計画だ。
米国は韓国政府に鉄鋼関税など通商分野と共に、防衛費問題でも激しい圧迫を加えてきている。大統領選候補時代から「防衛費の増額」の可能性を示唆していたトランプ大統領は、今月13日(現地時間)にも公正貿易をテーマにした懇談会で「米国は日本を守っており、韓国も守っている。しかし、彼らは私たちにその費用の一部だけを提供する」として、改めて韓国の安保ただ乗り論を持ち出した。
政府は、米国がTHAAD(高高度防衛ミサイル)基地の費用を防衛費分担金に転嫁する可能性もあるとみて、対策作りに腐心しているという。実際のトランプ大統領は昨年2月「10億ドル(約1兆1300億ウォン)のTHAAD請求書」に言及したことがある。ソン・ヨンム国防部長官は前日の国会国防委員会で、米軍がTHAAD費用を防衛費分担金で負担する可能性があることを認めた。