賄賂罪が認められても副会長維持、驚くべきこと
制度改革でホワイトカラー犯罪に厳罰を
1周年が目前の新政府、財閥改革の速度上げるべき
「欧州連合(EU)でこうした犯罪でイ・ジェヨン(サムスン電子)副会長が起訴されたとしたら、実刑はもちろん経営活動も制約を受けただろう」
アメリカ人フリーランス記者ジェフリー・ケイン氏は7日のハンギョレとのインタビューで、5日のイ・ジェヨン副会長に対する控訴審判決について驚きを示した。彼は過去7年間サムスンに関する取材をし、近いうちに『サムスン帝国』(仮題)を出版する計画だ。今回のインタビューはフェイスブックメッセンジャーで行なった。
ケイン氏は控訴審判決について「2審で刑量は減ったが、やはり有罪だ。にもかかわらず釈放されたのは衝撃的だった。また、賄賂供与罪などで依然として罪が認められているのに、副会長の地位や登記理事職を維持するというのも驚くべきことだ」と話した。さらに「同じ犯罪に対する判決が欧州連合でなされたとすれば、イ副会長は投資などいかなる経営活動からも排除されただろうし、明らかに投獄されただろう。欧州よりもう少し寛大な米国でも(賄賂罪に対する処罰は)同様だったろう」と明らかにした。
続いて韓国の裁判所が「ホワイトカラー犯罪」に寛大な点も突いた。 彼は「2009年の李健煕(イ・ゴンヒ)会長に対する赦免は(米国とは)システムが違うからだと理解しようとしたが、現在までほとんど10年間、何も変わっていないということを今回の判決が見せてくれた」と言った。また「多くの韓国人もがっかりしたと思う。もっと強く(ホワイトカラー犯罪を)処罰することができるよう、関連制度を直すべきだ」と付け加えた。これに先立つ米国CNN放送とのインタビューでも、彼は「巨大なサムスン帝国の指導者は期待より早く監獄を脱した」として、「韓国はホワイトカラー犯罪を軽く扱っている点では悪名高い」と明らかにしている。
文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する期待と希望も示した。彼は「文在寅政府が良い成果を上げることを期待する」と言いながらも、「財閥改革にもう少し積極的に対処すべきだ。5月になればスタートから1周年になるわけだが、財閥改革に関する成果を見せる必要があるのにまだない」と指摘した。財閥改革方案としては循環出資禁止、持株会社転換、財閥に寛大な赦免慣行の終息、公正取引委員会調査妨害に対して寛大な法律の改定などを挙げた。 ケイン氏は「サムスンなど財閥が自ら改革する理由がないから、政府が制度的にそうさせるようにしなければならない」として「公正取引委員会のキム・サンジョ委員長がうまくやり遂げると思うが、もっと早く動く必要がある」と明らかにした。
彼はサムスン電子が自社の「ニュースルーム」を通して、去年12月のハンギョレとの自身のインタビューを批判した内容についても反駁した。サムスン電子は「ハンギョレの記事は前提となる事実関係が間違っており虚偽だ」として「グローバル企業サムスンを歴史上最悪の独裁国家である北朝鮮と比べる主張をそのまま載せたのは納得し難い」と明らかにした。これに対しケイン氏は「サムスンの元代表理事が『李健煕会長を巡る神話作りと宣伝・扇動が存在する』と言うなど、多くのサムスン関係者にインタビューし、夏季修練会での大規模マスゲームなどサムスン文化に接した」と言い、「北朝鮮を訪問したこともあって(同じような特性を)自然に比べるようになった」と説明した。 さらに「サムスンが北朝鮮のように強制収容所を運営しているという意味ではない」とし、「サムスンは私が嘘を言っていると非難したが、録音されたインタビューをはじめサムスン関係者から入手した多くの写真と動画を持っている」と付け加えた。