フランク・オム米国平和研究所(USIP)先任研究員は、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が新年の辞で南北対話を提案したことと関連して、ハンギョレとのインタビューで「北朝鮮が韓米同盟に亀裂を入れようとしているという憂慮は、性急で誇張されたもの」と断言した。米国平和研究所は、議会の資金支援を受ける超党派的シンクタンクであり、オム研究員は米国防総省国防長官室先任諮問官を務めた指折りの朝鮮半島専門家だ。
-来週板門店で高位級南北当局会談を持とうという韓国政府の提案に対してどのように評価するか?
「文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ大統領はすでに南北問題においては韓国が主導するということで合意している。金正恩(キム・ジョンウン)が議論しようといった二つの問題、すなわち平昌(ピョンチャン)五輪と南北間軍事的緊張緩和は、明確に韓国側の車線にある問題だ。したがって、米国の憂慮を呼び起こしはしない。文在寅政府が来週板門店で南北対話を始め、また特定の議題を議論するためのホットラインを再設置しようと提案し、速やかに対応したことは鼓舞的だ」
-一部では北朝鮮の新年の辞が韓米関係を仲違いさせようとするものだと評価していると言うが。
「北朝鮮が韓国と関係改善をして、これを通じて現在の米国の対北朝鮮政策の核心である軍事訓練や経済制裁の緩和を要求する形で、韓米同盟に亀裂を入れようとしている恐れがある。だが、こうした憂慮はきわめて性急で誇張されたものだ。韓米同盟は過去60年間、堅固で強い復元力を見せてきた。そんなに簡単にはこわれない。韓国が米国とよく調整するならば、韓国は北朝鮮との関与に対する信頼と裁量権を確保し、北朝鮮の意図と関心についてさらによく理解できるはずだ」
-北朝鮮が今この時点で南側に対話再開の意思を表明した理由は何だと見るか?
「北朝鮮は最近数年間、新年の辞で韓国に対する平和提案をしてきた。2月に五輪が開かれるので、金正恩が新年の辞で南北問題と関連したジェスチャーを送ったことは理解できる。また、米国が前提条件を充足しなければ北朝鮮との対話を望んでいないように見える現時点で、金正恩の立場から見れば韓国以外に寄り添うパートナーがいないのも事実だ」
-北朝鮮の新年の辞が緊張緩和に役立つと見るか?
「北朝鮮の行動に対しては警戒する必要があるが、北朝鮮の平昌五輪参加や軍事的緊張緩和と関連した南北間関与は、明確に朝鮮半島の緊張を低めるための正しい第一歩だと考える」