政治的判断が未熟だとして
満18歳に選挙権与えない現実
「大人は判断能力が優れていて
朴槿恵前大統領を選んだの?」
青少年により高い政治的尺度
「参政権能力試験でもあるんですか」
「青少年が最も悩んできた入試政策
投票権持てば 教育政策が根本的に変わる可能性も」
「一緒に(朴槿恵(パク・クネ)前大統領弾劾の)ろうそくを掲げたけれども、私たちは一緒に(大統領選挙で)投票することもできなかったじゃないですか」
キム・カウルキルさん(16・韓国造形芸術高1)がこう言うと、キム・ユンソンさん(15)が「大統領選挙の討論会など見ていると私も腹が立ってきた」と呼応した。「それを見ても投票もできない」からだった。 広場でもオンラインでも“同じ市民”として一緒に民主主義を叫んだ青少年たちは、実際の選挙では“市民の外”に押し出されてしまった。再び「気にしなくてもよい存在」(キム・ユンソン)になり、「制服を着ていれば候補者が名刺もくれない存在」(キム・カウルキル)になった。
12月26日国会で会った「ろうそく青少年人権法制定連帯」所属のキム・ユンソンさん、同連帯の全国常任代表イ・ウンソンさん(17・蔚山地域の高校3年)、釜山制定連帯常任代表のキム・カウルキルさんは、青少年参政権拡大のための法改正要求活動をしている。 イ代表とキム代表は記者会見・集会などのために蔚山(ウルサン)・釜山(プサン)とソウルを随時行き来している。 彼らは「疲れるくらいに駆け回らなければ変わらないから」と言った。
キム・ユンソンさんは弾劾ろうそく集会に何回も参加したし、キム代表はろうそく集会当時、参加者の発言の中に“嫌悪発言”があるかどうかを確認して主催者側に伝える仕事をした。蔚山総学生会長連合会会長であるイ代表は、蔚山地域の12の学校の生徒人権侵害事例を集めて大統領府・国家人権委に提起するなどの活動をしてきた。「制定連帯」は弾劾集会以後、満19歳以上の成人だけに可能な選挙権・住民発議・住民投票の年令を引き下げる法改正と子ども・青少年人権法制定のために、去年9月、青少年団体・教育団体が集まって立ち上げた連帯団体(現在350余り)だ。「青少年がその生に影響を与えるすべての選挙(大統領選挙、総選挙、地方選挙、教育監選挙)と被選挙権、住民投票・住民発議・国民投票から排除されている現実」を変えようとしている。今すぐ16歳までの拡大が難しいならば、一旦18歳まで引き下げるのが目標だ。
韓国の投票年令は1948年に満21歳、1960年20歳、2005年19歳と低くなったが、青少年は政府樹立以後一度も投票できなかった。選挙で候補者や政党に対する支持意見表明もできない。18歳になれば結婚もでき(民法)、運転免許を取り(道路交通法)、軍隊に入隊し(兵役法)、8級以下の公務員にもなれるが(公務員任用試験令)、投票にだけ「19歳という敷居」が置かれている。
中央選挙管理委員会は2016年8月、選挙権年令を下げる公職選挙法改正意見を国会に提出した。「政治・社会の民主化、教育水準の向上、インターネットなど多様な大衆媒体を利用した情報交流が活発になった社会環境により、18歳の青少年は独自の信念と政治的判断に基づいて選挙権を行使する能力がある」という意見だった。 選管委は青少年のための民主主義選挙教室、政治キャンプなどを持続的に運営している。
今の第20代国会では、民主党(ユン・フドク、イ・ジェジョン、チン・ソンミ、パク・チュミン、ユン・ホジュン、ソ・ビョンフン、ピョ・チャンウォン)、国民の党(イ・ヨンホ、キム・グァニョン)、正しい政党(パク・インスク)、正義党(ユン・ソハ)の11人の議員が各々代表発議した公職選挙法改正案11件が提出された。どれも選挙権年令を18歳に下げる改正案だ。 去年6月スタートした政治改革特別委員会で投票年令引き下げが議論されたが、自由韓国党の反対で合意ができなかった。自由韓国党のチョン・テオク議員は政治改革特別委で「全教組の教師たちが政治的な話をするから、青少年は参政権を享受してはならない」と主張した。
投票年令引き下げ反対の主な主張はまさに「青少年の政治判断能力不足と政治的未成熟」だ。キム代表は「政治判断能力により選挙権を与えるなら“参政権判断能力試験”でも受けなければならないのか」と言い、「(大人は)政治的判断能力が優れていて(国政壟断事態を引き起こした)朴槿恵前大統領を選んだのか」と問い返した。 彼女は「投票は自分が生きてきた経験と生活を基に投票すればいい。青少年も自分の生を根拠に投票すればいい」と言った。イ代表は「民主主義において未成熟とは相手を無視して自分の意見ばかりを主張することだ。(投票年令引き下げに)反対する方たちの態度は、青少年の話を聞こうとしない未熟さを示している」と指摘した。 キム代表も「選挙権も与えずに青少年を政治的に無力化しておいて、政治に関心もない未成熟な子どもたちだと主張するのは話にならない」と言った。政治的主張に容易に影響を受ける大人が多いにもかかわらず、青少年の政治成熟度ばかり指摘するのは、青少年にだけより高い政治的資格要件を強要するものだと彼らは言う。
青少年が親や教師の影響を受けて投票するだろうという主張も、キム・ユンソンさんは理解できない。「非青少年(成人)は『最近の子どもたちは大人の言うことも聞かず口答えをする』と言いながら、選挙権に関しては『大人の言うことをよく聞いて投票するだろう』と言う。矛盾した話だ。 青少年が政治に関心があってもなくても選挙権は市民として当然な権利だ」
「学校が政治の場になるだろう」という主張もうなずけない。「生徒会長選挙も、(生徒に何かをするなと)学校側が禁止する行為も、学校の予算を監視することも、皆政治的だ。社会は政治の連続であって、学校の政治化は悪いことではない」というのが彼女たちの話だ。「高3まで投票することになったら大学入試に支障を与える」という指摘に対しても、「青少年が投票権を持てば、(むしろ)入試制度を含む教育政策が根本的に変わる可能性も生じる」と反駁する。
今年の地方選挙を「青少年の最初の選挙」にしようとしていた彼らの願いは、自由韓国党の反対で立ち消えになる可能性が高くなった。 政治改革事案は与野党の合意処理というのが久しい慣例だった。 キム代表は「自由韓国党は青少年の進歩性向が気に入らないのだ。投票年令を下げれば進歩側に有利だという政治的損益計算のために反対している」と指摘する。キム・ユンソンさんは「青少年がさらに大きな変化を引き起こすことを恐れているようだ」と言った。投票年令を18歳に下げれば約60万人の青少年有権者が生まれる。
満15歳のキム・ユンソンさんは「2020年の総選挙までも投票年令を下げることができなければ、その時も私には選挙権がない」と言った。“当然の権利”がこれ以上“手にすることのできない権利”にならないようにすべきだと彼女は話した。