自動車部品企業(株)ダースの実所有主を明らかにするための募金運動「plan Dasの契(“フランダースの犬”と発音が同じ)」が3週間で目標額の150億ウォン(約15億円)を達成した。ダースは李明博(イ・ミョンバク)元大統領が実所有主だという疑いをかけられている会社だ。
「plan Dasの契」は、国民財産取り戻し運動本部(事務総長アン・ウォング)が李明博元大統領の隠匿財産を見つけるために進める市民運動だ。李明博元大統領が実所有主と疑われるダース(Das)の株式を約3%買い取り、会計帳簿や取引状況など、その内部を調べて所有構造を検証するということだ。商法上、3%以上の株式を所有している少数株主は、臨時総会招集請求▽会計帳簿閲覧権▽会社の業務・財産状態検査のための検査申請請求権などの株主の権利を行使することができる。
本部は3%の株式を買いとるためには150億ウォン程度が必要と明らかにし、11月30日に開設された口座には3万6477人の後援者が集まり、3週間で150億824万ウォンの金額が集まった。募金額が満たされたことにより、募金口座は21日午後3時頃に閉鎖された。
国民財産取り戻し運動本部は、全斗煥(チョン・ドゥファン)、李明博元大統領、チェ・スンシル一家の不正蓄財財産を調査し、これを還収するために10月に発足した団体だ。アン・ウォング事務総長は、「犯罪者が不正・不法に蓄積してきた隠匿財産は、国民が納めた税金としてもれなく国庫に還収しなければならない」として「MB(李明博)の隠された財産を見つけ出そうという「plan Dasの契」は、国民財産取り戻し運動本部の初めての事業」と明らかにした。本部は株式買い入れ後、会計帳簿や取引状況を閲覧し、所有構造を検証した後に確保された資料を基に告発などの法的措置を取る計画だ。
■ 2007年17代大統領選挙時から論議、#ダースは誰のもの
ダースの実所有主論議は、ソウル市道谷洞(トゴクトン)の土地の実所有主論議と共に、2007年の大統領選挙を控えて提起された「BBK株価操作」事件の時に疑惑の主軸として浮上した。李明博元大統領が借名で保有したと疑われる道谷洞の土地の売却代金がダースに投資され、BBKに流れたという疑惑が提起されたためだ。「道谷洞土地→ダース→BBK」へとつながる資金の流れを調べる時、道谷洞の土地の持ち主がダースとBBKの本当の持ち主である可能性が高い。
この事件を最初に捜査したところはソウル中央地検特捜1部(当時部長チェ・ジェギョン元朴槿恵<パク・クネ>大統領府民政首席秘書官)であった。当時、ソウル中央地検は道谷洞の土地に対して「李明博候補の長兄であるイ・サンウン氏が持っている道谷洞の土地は、李明博氏ではない第三者の借名財産と見られる」との結論を下した。ダースについても「ダースが李明博大統領のものではないようだということではない」と曖昧に発表した。
結局、特検が始まった。しかし、チョン・ホヨン特別検察官はあろうことかこの部分に免罪符を与えた。チョン・ホヨン特別検察官は、捜査結果を発表する5日前に李明博当時大統領当選者に三清閣(サンチョンガク)で会い、コムタンを食べて3時間調査しただけで、「道谷洞の土地の持分はイ・サンウン氏のものであり、ダースもイ・サンウン氏が実所有主だ」とする捜査結果を発表した。
だが、疑惑の火は消えなかった。ダースが40個の借名口座を通じて120億ウォン(約12億円)の秘密資金を運用した痕跡が発見され、李明博元大統領の息子であるシヒョン氏がダースの専務にスピード昇進した後に、主要子会社の代表として活動しているという事実も明らかになった。李明博氏がソウル市長を務めていた2004年、ソウル市が現代自動車の良才洞(ヤンジェドン)社屋増築に決定的な支援を行い、現代自動車の協力企業であるダースの売上が急増した事実も確認された。これに対しネチズンは「#ダースは誰のもの」というハッシュタグ運動を行っている。
一方、「plan Dasの契」とは別に、検察にはすでに告発状が提出されている。参与連帯と民主社会のための弁護士会(民弁)が今月6日、ダースの秘密資金疑惑と関連してこの会社の最大株主であるイ・サンウン代表理事と「氏名不詳の実所有主」をソウル中央地検に告発した。ここで氏名不詳の実所有者とは李明博元大統領を意味する。