本文に移動

米国内の対北朝鮮強硬ムード「9月のデジャビュ」

登録:2017-12-04 22:08 修正:2017-12-05 06:15
北朝鮮が先月29日「火星-15型」ミサイルを発射した=平壌/朝鮮中央通信聯合ニュース

 北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」型発射以後、米国内の北朝鮮に対する雰囲気が急冷している。北朝鮮の6回目の核実験以後、軍事オプションが議論され、情勢の不確実性がきわめて高くなった9月の「デジャビュ」のような状況になった。

 ドナルド・トランプ米行政府の事情に精通した消息筋は3日(現地時間)、「米行政府の中でも『先制攻撃』が絶えず議論されるほど」だとして、内部の雰囲気が悪化したと伝えた。北朝鮮の長距離ミサイルが、理論的にはワシントンに到達しうるという評価が出てきて緊張が高まっているということだ。

 米ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安保補佐官も2日、カリフォルニアで開かれた「レーガン国防フォーラム」で「北朝鮮との戦争の可能性が日増しに高まっている」として緊張水準を引き上げた。彼は「武力衝突によらずにこの問題を解決できる方法はあるが、あまり時間が残っていない」と付け加えた。ただし彼は、具体的な軍事オプションと関連してソウルを狙った北朝鮮の在来式ロケット砲やロケットを考慮すれば「リスクのない軍事行動の方法はない」と認めた。

 マクマスター補佐官は4日、フォックスニュースの「サンデー」プログラムに出演し、北朝鮮核問題は「(中国とロシアに対して)直接的な脅威であるだけでなく、日本や韓国、および他の国家が自主的に核武装する可能性という脅威をも提起する」と述べた。北朝鮮核問題を放置すれば、中国が最も敏感に考える韓国、日本、台湾の自主核武装を容認することになりかねないというメッセージを投げて、中国に対北朝鮮原油製品供給の縮小と海上遮断への参加を引き出す圧迫と見られる。

 彼は北朝鮮の核兵器を認めることはできない理由として「北朝鮮の意図は核兵器を核脅迫に使い、赤い旗の下に朝鮮半島を『統一』するため」だとし「北朝鮮政権の下での暮らしがどのようなものかを知りたいならば、今の38度線の北側を見れば良い」と話した。

 彼は北朝鮮核問題のもう一つの重大な脅威は「金正恩(キム・ジョンウン)がこのような武器を他国に広げたり売ること」とし、「北朝鮮は自分が開発した武器システムを他の誰かに売らなかったことがない」と話した。トランプ行政府が非核化のみならず非拡散の側にも重点を移していることを示唆する。

 米共和党の重鎮であるリンジー・グラハム上院議員は3日、CBS放送とのインタビューで、対北朝鮮先制攻撃の可能性を議会で公論化する必要があるとし、「北朝鮮の挑発を仮定するならば、韓国に配偶者と子どもを伴って米軍を送ることは話にならない」と主張した。「先制攻撃」はグラハム議員の普段からの持論ではあるが、「米軍の家族同伴禁止」はきわめて刺激的な扇動なので、米国内の世論を悪化させかねない。

 ただし、トランプ行政府が税制改革問題、ロシア・スキャンダルなどで外交政策に対する集中度が落ちているため、国際機関などが朝鮮半島緊張緩和のための歩みを近い将来始めることもありうるという観測があり、最悪の状況には陥らないという見方もある。

 こうした中で、インターネットメディアのアクシオスは3日、「トランプ行政府の新たな国家安保戦略草案がほぼ完成し、まもなく出される予定であり、今週の閣僚会議で検討されるだろう」とし、「トランプ大統領も新しい戦略の核心要素を承認した」と報道した。 新たな戦略は、本土保護、中国と関連した経済的競争力向上、技術的威嚇の出現などに焦点を合わせると発表された。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/821953.html韓国語原文入力:2017-12-04 16:34
訳J.S

関連記事