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[社説]「宣戦布告」まできた危機熱を韓国が冷ませ

登録:2017-09-27 00:29 修正:2017-09-27 08:02
米ニューヨークで開かれた国連総会などで米国を非難し「言葉の爆弾」を浴びせた北朝鮮の李容浩外相(右)が25日(現地時間)にニューヨークを出発し、26日午後北京首都空港に到着した後、チ・ジェリョン駐中北朝鮮大使の出迎えを受け待機中の車両に向かって歩いている=北京/聯合ニュース

 北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相が25日、米国のトランプ大統領の発言を「宣戦布告」として、米国の戦略爆撃機が領空を越えなくとも「自衛的対応権」の次元から撃墜させると話した。李外相は23日の国連総会演説でも「先制行動」に言及して威嚇しているが、今度はその対象と方法を具体化したという点から危機レベルを一層高めた。米国国防総省も「武力示威を含むすべてのオプションをトランプ大統領に提供するだろう」と正面から受けて出た。

 李外相の言葉を原則論的な発言と見ることもできる。しかし米国と北朝鮮が競走する暴走機関車のようにチキンゲームを行い続けていると、両国とも想像しない偶発的交戦が起きる可能性を排除することはできない。北朝鮮は、ニクソン米政権時代の1969年に清津(チョンジン)東南の公海で米偵察機をミサイルで撃墜して全乗務員31人を死亡させたことがある。当時米国は報復計画を実行に移さなかったが、トランプ行政府で同じことが起きたらどんな風に対応するか分からない。

 問題は北と米国の張り詰めたプライド争いを止める人がいないということだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国連総会の演説で「朝鮮半島での戦争はだめだ」というメッセージを明確に表明した。しかし、続く韓米首脳会談では米軍の戦略資産の朝鮮半島展開に合意し、1953年の停戦協定以来初めて北方境界線(NLL)を越えた米戦略爆撃機B-1Bの武力示威に「同意」した。言葉は「平和」、行動は「軍事的緊張同調」である。このような時であるほど、危機を落ち着かせるための行動に韓国政府が積極的に取り組むべきなのに、そのような様子はほぼ見られない。米国と北朝鮮の偶発的衝突の可能性を排除するために、韓国は両国に向かって挑発的な言葉と行動を中断しろと強く促すべきである。

 文大統領は26日、10・4南北首脳宣言の10周年記念式に参加した。この行事は10年ぶりに政府が主催して10・4宣言を復権させる意味があった。しかし文大統領の発言は「軍事的抑止力確保」「制裁強化」を強調するに終わっただけで、南北和解と協力という10・4宣言の真の意味を蘇らすには不十分だった。文大統領は祝辞で「10・4宣言は唐突に成し遂げられたことではなかった」として「歴代政府が南北関係発展のために長年一歩ずつ苦労して進めた努力の結果」と話した。文政権は今どんな「一歩」を進めているか、振り返ってみるべき重大な岐路に立っている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/812622.html 韓国語原文入力::2017/09/26 18:25
原文: 訳T.W

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