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「PD手帳」の制作陣、「セウォル号・労組・国情院・THAADは禁句だった」

登録:2017-07-25 03:38 修正:2017-07-25 07:24
MBCのプロデューサー、キム・ヒョンギ氏が今月24日午前、ソウル麻浦区上岩洞のMBC社屋の前で行われた記者会見に参加し、「PD手帳」プロデューサーらの制作中止理由について説明している=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 幹部たちのアイテム黙殺に対する抗議として制作拒否に乗り出したMBC(文化放送)の「PD手帳」のプロデューサーらが「(秘密診療関連の放送に)、朴槿恵(パク・クネ)大統領の顔写真をたくさん使うな」、「(セウォル号)遺族が泣く場面を削除せよ」など、2013年以降に制作自律性を侵害された事例を公開した。プロデューサーらは「『セウォル号』や『労働組合』、『国情院』、『THAAD』などPD手帳の中には禁句が多かった」と主張した。

 24日午前、PD手帳のプロデューサー10人はソウル上岩洞文化放送社屋前で記者会見を開き、このような内容を公開した。彼らは今月21日「8月1日分の放送アイテムの発題が非合理的な理由で黙殺された」として、同日午後6時からの制作拒否を開始した。

 このような事実が外部に伝わると、会社側は直ちに発表文を通じて反論した。会社側は「ハン・サンギュン(前民主労総委員長)」ネタを通過させなかった理由と関連し、「ハン・サンギュン委員長関連のネタはタイトルが何であれ、(民主労総の)『請負ネタ』」だとし、「放送製作を決して承認できない」と明らかにした。

 しかし、プロデューサーらは「プログラムを作りたがっているプロデューサーらを、到底自らの良心を裏切ることができない状況に追い込んだのは会社側」だとし、「我々は今でも会社側がアイテム制作に対する議論を望むなら、制作拒否を撤回する用意がある」と明らかにした。放映中止の事態と懲戒を覚悟してまで制作拒否に入る前に、幹部陣と対話を繰り返し試みてきたが、合理的な対話を拒否され、この数年間にプロデューサーの制作自律性を侵害した事例が積み重なってきた問題があったということだ。

 まず、プロデューサーらは「ハン・サンギュン」ネタと関連し、幹部陣が番組の制作過程で憂慮される部分を十分に調整できるにもかかわらず、企画段階から非合理的な理由で最初から反対したことを納得できないと話した。彼らによると、「ハン・サンギュン」ネタを取り上げる趣旨は「韓国社会で働く人々がどのような待遇を受けているのか」だ。制作陣はこのようなアイテムが、最近浮き彫りになったある国会議員の労働者を蔑視する発言や郵便局配達員の自殺、居眠り運転で事故を起こしたバス運転手の問題、最低賃金の引き上げを巡る議論などによって、時宜性があると判断した。

 しかし、チョ・チャンホ時事制作局長とキム・ドイン編成制作本部長は、放送審議規定第9条4項「放送は当該事業者又はその従事者が直接的な利害当事者となる事案について一方の主張を伝えることにより、視聴者を間違った方向に導いてはならない」という規定を根拠に、当該アイテムを拒否した。プロデューサーらは幹部陣に「一人のプロデューサーとして良心と良識に基づいて当該事案にまつわるさまざまな見方を公正に取り上げる。制作過程で意見を調整し、試写を通じて内部意見をまとめて合意された番組をつくる」と説得したが、それが通じなかったと明らかにした。制作陣はまた、「利害当事者」であるため、放送が不可能だという意見と関連し、最近、MBC「ニュースデスク」で雇用労働部が文化放送に対し特別勤労監督を施行したことを取り上げた事実を伝えたが、幹部陣は意見を受け入れなかったという。

PD手帳の制作陣は「利害当事者」であるためで放送が不可能だという意見と関連して、最近、MBC「ニュースデスク」で雇用労働部が文化放送に対し特別勤労監督を施行したことを取り上げた事実を伝えたが、幹部陣は意見を受け入れなかったという=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 記者会見に参加したソン・イルジュンMBCプロデューサー協会長は「予期されていたことだ。(2012年のスト以降)外から見ると、PD手帳のプロデューサーらが無力に見えるかもしれないし、『あんな放送しようと耐えている理由は何だろう』と疑問を持った人もいるだろう。しかし、内部では“最悪の放送”を防ぐため、『番組を維持しなければならない』という心境で努力してきた。これ以上耐え切れない状況で爆発したもの」と話した。PD手帳のプロデューサーらは記者会見で「番組が取材、制作される前に、会社側は番組がハン・サンギュン委員長の“救命”(釈放)を求める内容になるはずであり、さらに、PD手帳が『民主労総の請負制作所になるだろう』という表現まで使った。制作陣に対する侮辱だと感じた」と話した。

 制作陣は同日、記者会見で2013年から制作自律性が侵害された代表例17件を公開した。事例には、2013年の晋州(チンジュ)医療院の廃業▽2015年の国家情報院の民間人ハッキング疑惑▽2015年の歴史教科書国定化をめぐる論議▽2016年の斗山(トゥサン)名誉退職▽2016年の4大河川緑藻事業▽2017年の日本軍「慰安婦」などを素材にした番組がすべて放送されなかった。主に朴槿恵(パク・クネ)政権に“不都合な”議題に当する。

 幹部陣に問題を提起したプロデューサーは他の部署に直ちに転補される事例も多かった。2013年、晋州医療院の廃業を取り上げられなかったことに抗議したプロデューサー2人は非制作部署に転出されており、2014年「穴のあいた海外資源開発、消えた国の資金2兆ウォン(約1990億円)」を放送したプロデューサーも放送直後に非制作部署に転出され、スケート場の管理を任された。

 これに対してMBC側は「会社の立場をまとめている。まもなく立場を表明する」とした。

キム・ヒョシル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

原文入力:2017-07-24 15:41

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/804026.html?_fr=st1 訳H.J(2607字)

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