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[ニュース分析]スポーツで行き詰まった南北関係の突破口を開く

登録:2017-06-26 03:51 修正:2017-06-26 08:01
文在寅大統領が今月24日午後、全羅北道茂朱雪川面テコンドー園で開かれた世界テコンドー連盟主催の世界テコンドー選手権大会の開幕式で、南・北朝鮮演武団と共に記念写真を撮っている。前列(右端を除く)が南側、後列が北側の演武団=茂朱/キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が24日、全羅北道茂朱(ムジュ)で開かれた世界テコンドー選手権大会の開幕式で、来年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪で南北単一チームの構成を提案したのは、“非政治的イシュー”のスポーツ交流を通じて、新政府発足後にも行き詰っている南北関係の突破口を開くためと見られる。北朝鮮の反応と単一チームの実現の可否によって“対話の扉”が開かれる可能性に注目が集まっている。

 文大統領の単一チームの提案は、南北対話と協力の呼び水が切実な状況で出たものだ。先月10日に文在寅政権が発足した後も、南北は依然として対話の糸口をつかめずにいる。期待を集めた6・15共同行事は、南北間の意見の隔たりを縮めることができず、南北がそれぞれ個別のイベントとして行っており、南側の民間団体の接触の提案も北側の拒否でほとんど実現しなかった。文統領が体育交流という迂迴路を選んだのには、伝統的に南北関係改善のきっかけを作ってきた北朝鮮に対する人道的支援が以前に比べて効果が低いという判断も働いたものとみられる。北朝鮮が以前に比べ「緊急救護」などに対する関心が少なくなったうえ、「対北朝鮮ばらまき」をめぐる議論が再燃しかねないからだ。

 国際政治外交舞台では、ギクシャクした関係の国同士が体育交流を掲げて雰囲気を造成した後、本格的な関係改善に乗り出すケースが珍しくない。1970年代初頭の米中間の「ピンポン外交」が、1979年の正式な国交正常化への架け橋の役割を果たしたのは、広く知られた事例だ。南北間でも1991年の千葉世界卓球選手権大会とリスボン世界青少年サッカー大会での単一チームの構成など、体育交流が南北基本合意書の採択など政治・軍事分野の協力につながった。文大統領が開幕式で明らかにした望みどおり、9月に平壌(ピョンヤン)で開かれる国際テコンドー連盟(ITF)大会に韓国が主導する世界テコンドー連盟(WTF)の演武団の答礼訪問が実現すれば、テコンドーを機に南北が自然に往来するきっかけが作られる。

文在寅大統領が2017茂朱世界テコンドー選手権大会の開幕式で祝賀公演を終えた国際テコンドー連盟(ITF)テコンドー演武団の北朝鮮選手たちと握手を交わしながら激励している=茂朱/聯合ニュース

 平昌五輪での単一チーム構成が協議される場合、これは国際オリンピック委員会(IOC)の斡旋または仲裁で行われる手続きを踏むことになるものとみられる。南北間の行事よりも国際社会の関心と支持を引き出すのにさらに有利だ。強力な対北朝鮮制裁局面で、南北交流の突破口を開かなければならない政府にとって、友好的な国際世論は重要な資産になる。さらに、トーマス・バッハ国際オリンピック委員長が分断と統一の経験があるドイツ人であり、相対的に南北間の対話と協力を後押しする可能性も高い。実際、南北単一チーム構成の議論を積極的に進めることになると、これをきっかけに南北の高官が互いに交換訪問をしながら公開・非公開協議をする機会が多くなり、南北関係の復元にも少なからぬ役割を果たすと期待されている。

 問題は北朝鮮の態度だ。 北朝鮮がどう出るかを速断するのは難しい。北朝鮮のチャン・ウン国際オリンピック委員会委員は25日に行われたアン・ミンソク共に民主党議員との昼食懇談会で、文大統領の単一チームの提案に対して「北朝鮮で最終エントリーが決定するのを見てから(話し合えるもの)ではないか」とし、慎重な態度を示したとアン議員が伝えた。チャン・ウン委員は23日、金浦空港入国場でも記者団にオリンピックでの単一チーム構成などについて聞かれた際にも、「私は議論する立場にない」と答えた。直ちに応じるわけではなく、即答を避けた慎重な反応だ。

 だからといって、北朝鮮が単一チーム構成に否定的だと断定するのは早い。南北対話ではおおむね初期の議題づくりの過程で「簡単なもの、非政治的なものから交流しよう」という南側の立場と、「政治・軍事的な当面の課題から解決しよう」という北側の立場がぶつかり合ってきた。北朝鮮は先月発足した文在寅政権に対しても、民間交流は拒否したまま、韓米合同軍事演習の中止▽ビラ散布の中止▽北朝鮮の中国レストランから集団脱出した女性従業員らの送還などを要求している。チャン・ウン委員の慎重な反応には、このような南北による神経戦の局面が反映されているものと見られる。コリア研究院のキム・チャンス院長は「今は北朝鮮が南北対話に向けた文在寅政権の意志と意図などを見極める一種の“探索局面”」だと規定した。キム院長は「来年2月の平昌五輪まで時間があるため、北朝鮮は当面可否を決定するよりはまず今月末の韓米首脳会談の結果を見守ってから、文在寅政権の今後の動きを注視しつつ、態度を決定する可能性が高い」としたうえで、「今後、8・15光復節祝辞と10・4南北共同宣言10周年行事などこれからの重要日程をどう活用するかも重要なポイントになるだろう」と話した。

パク・ビョンス、イ・ジョンエ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/800186.html 韓国語原文入力:2017-06-25 23:17
訳H.J(2328字)

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